ストーリーオブマイライフ(The Story of My Life 스토리 오브 마이라이프 )の幽霊?
先日ベガム(白岩)アートホールで上演中のストーリー・オブ・マイライフを見てまいりました。私が見たのはこのキャスト
カン・ピルソクさん(トム)、ホン・ウジンさん(エルビン)です。カン・ピルソクさんはスリル・ミーでもおなじみ(?)ですね。
このそっけないキャストボードをご覧になればわかるかと思いますが、2人だけ出ずっぱり系、ピアノが奏でる100分一本勝負なミュージカルです。
延々2人が歌い続ける構成ですので、上演前にやたらホールスタッフが、休憩がないからトイレに行っておけ、いっておけ、と薦めておりました。そういわれると、なんだかむやみに行きたくなるからやめてください。もう行ってきたよ。
さて、物語は至ってシンプル。小説家のトム(Thomas)は、親友エルビン(Alvin)の弔辞を書くにあたって、二人の思い出をさかのぼっていきます。この過程で、トムにとっていかにエルビンとの関係が自分の創作活動において、また人生においてかけがえのない大切なものであったのかを思い出していくとともに、都会生活で擦り切れてしまっていた自分を取り戻していくのでした・・という感じ。ベタといえばベタな友情物語です。
が、しかし。
泣かせる。
トムの回想の中に現れてきたエルビンが、自分の自殺の理由を探そうとはしないでいい、自分たちの関係、君にとっての僕は、君の記憶の中にすべてあるんだから、というようなことを言って歌いだす下りぐらいからもうこらえきれません。
しかし心配無用。そのころには周りの人々もだいたい鼻水たらして目をこすっているのです。安心して、歌の途中に鼻水をすすりましょう。(ハンカチはもっていったほうがいいかもね)。
私はこの芝居を1人でみにいったのですが、両隣も1人客(女子)。全体的に1人率が高めという印象がありました。1人行動が好きではなさそうな韓国人が1人でも見に来るということは、なんかよっぽどの思い入れがあると思われるわけで。
やがてその思い入れのほどは、周囲からつたわってくることになるのでありました。
まず、右横の彼女は芝居中盤くらいから常に両手を合わせた祈りのポーズ状態。『ZUCCA×ZUCA』という宝塚オタクの生態を描いたマンガに、観劇時に熱がこもりすぎて祈りのポーズをとってしまう、というエピソードがありましたが、そんなかんじ。
しかし他方、 左隣の女子(年齢高め)は前髪にカーラーをまいたままで、ノーメイク、ふろ上がり感漂う感じでの来場。最初はこの不思議ないでたちと風呂上り臭がすごく気になっていたのですが、もう途中から忘我でどうでもよくなりました。
しかもこの人、外出したくないのに会社でチケット押し付けられちゃったよ、行っとくかとりあえず、という感じの人なのかとおもっていたのですが、途中から祈りのポーズを取り始めるではありませんか。ぬ、おぬし、本気だったのか。最後のカーテンコールでは熱狂的にカン・ピルソクに拍手しまくってて、恐ろしいほどでした。
そして、その狂気を帯びた拍手をみて、「はうっ!」と気づきました。
この物語、トムとエルビン7歳の最初の出会いはハロウィンで、エルビンはお母さんの幽霊のコスプレをしているという設定ではなかったか。そしてお母さんは部屋着のローブを着て、頭にカーラーを巻いているといういで立ちのはず。
コ、コスプレだたんですか!隣のお姉さん。そのカーラーは、単に忘れ物ではなく、エルビンのお母さん風味だったのですか??もちろん、単なるうっかりの可能性もいまだゼロではありませんが、最後にお姉さんの熱意を理解できて、よかった。誤解しててごめんよ、お姉さん。
というわけで、舞台はもちろん、観客からもほっこりした(?)愛をもらったお芝居でした。
2月いっぱいで終了ですが、ソウル観劇計画のある人はぜひ。頭にカーラーを巻いた、ベガムアートの幽霊もいるかどうかチェックしてみてね!
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