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ミュージカル「ストーリーオブマイライフThe Story of My Life 」日本版上演決定―来年までに予習しませんか?

ミュージカル「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」の日本キャストでの公演が決定しましたね!2019年10月開幕予定の「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」ってどんなお話なの?と関心をもちつつも、公演はまだ1年近く先か・・とお思いのかたは多いかと。そんな皆様に韓国キャストの「ストーリー・オブ・マイ・ライフ스토리오브 마이라이프」を手掛かりに、予習を提案してみたい。

韓国では2010年に初演、その後2011-12、2015-6、2016-7、そして現在(2018-19年シーズン)と繰り返し上演される2人1幕ミュージカルの人気作。物語で重要な意味を持つ日、クリスマス・イブも初演をのぞいて公演日となっており、「わかってるぅ!」とうならざるを得ません。このクリスマス公演は客席のマニア濃度が極まり、愛あふれるオタク体験ができる特異日となっています。来年末にはきっとこの意味が分かるかたが激増するとおもわれますが、一足先にSOML(ストーリー・オブ・マイ・ライフの略称。韓国語の場合は솜:ソムと略されることも)の世界をのぞいてみましょう!

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出典:ホリプロオンラインチケットサイト「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」

horipro-stage.jp(韓国のツイッター民の間で、何でアルヴィンが裸足なの??と話題のポスターが光る公式サイト。・・・なんで裸足なんですか?)

お話はハートウォーミングと言われることが多いけど・・

 ここ数年、韓国ではクリスマスから年末年始にかけて上演される風物詩となった「SOML」。ハートウォーミングなストーリー、などと説明が入ったりすることもあるのですが。確かに曲調は暖かく、優しさに満ちておりますので、映像をみるとそういう印象を抱くかもしれません。

www.youtube.com(2018年シーズンの韓国版「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」のハイライト映像)

しかしそのストーリーは、ウォーミングというよりは、締め付けられ涙を搾り取られること必至で、年末総決算「今年の悪いものを流し去ろう」キャンペーンに近いものがある。物語はーー。子どものころからの親友で、どちらかが先に死んだら残った方が弔事を書くことを約束しあったトーマスとアルヴィン。ついにトーマスがアルヴィンの弔事を書くこととなり、二人の思い出をたどっていくことになるのですが・・というもの。

ややネタバレですが、見た後まさに「なぜアルヴィンは橋から飛び降りたの?」「トムに拒絶された時、アルヴィンは何を想ったの」とぐるぐる疑問が回ります。と同時に、アルヴィン(この彼の存在をどう解釈するかも・・)が「This is it(これがすべて)」という曲に乗せてトーマスに「答えはね、わからない。わからないんだよトム」と言い、とても切ないけれど無限の可能性も感じる素敵な話をしてくれることを思い出し、涙しつつも、その開かれた解釈の可能性に「誰かと語り合いたい!」とさけばずにはいられなくなる。誰かと一緒に行かなくてもいいけれど、後で語れる人が見てくれていることを祈りたい作品なのでございます。

予習1:映画「素晴らしき哉、人生!」を見ておきたい

さて、「SOML」では、トムとアルヴィンが大好きな映画、クリスマスには二人で鑑賞する「決まり」になっている作品として、「素晴らしき哉、人生!It's a Wonderful Life」(1946.米)が登場します。映画の登場人物である天使クラレンスとジョージの関係はトムとアルヴィンの関係性を様々な意味で暗示するのです。また、この映画で登場する小説『トム・ソーヤの冒険』も、ミュージカル「SOML」の中では、アルヴィンがトムに「人生を変える切っ掛けを与える」アイテムとして登場いたします。観客はこの『素晴らしき哉、人生!』を見ておくと、「SOML」ワールドが二倍にも三倍にも楽しめること間違いなし!ですよ。

予習2:トーマスが劇中で書いた作品を読もう!

もう一つは、非常にマニアックな予習ではございますが・・。作中でトムことトーマスが大学入学のために提出した短編小説「The Butterfly(蝶)」が、実は実際に発行されております!kindle版でも読めるこの絵本(?)を、よみすすめておくのはいかがでしょうか?SOMLの作家であるBrian Hillの挿絵入りというおまけ付き(米AmazonのIDが必要です)。

www.amazon.com劇中では、この小説を大学に提出すべきかどうかを迷うトーマスが、アルヴィンに内容を語って聞かせます。お話を聞きトムの才能に気づいたアルヴィンは、自分の発する一言によってトムがこの町から出て行ってしまう、その寂しさをぐっと押さえ、トムの背中をそっと押します。ここな!アルヴィンの孤独とトムへの思いの深さに、ぐはぁああ!っとヤラレる場面です。また、「The Butterfly」の内容は歌で解説されるのですが、この曲はトーマス役の俳優さんの見せ場の一つとなる、非常に人気の高い名曲です。「The Butterfly」はどんな曲?という方に、韓国版SOMLから、チョ・ソンユン(旧チョ・ガンヒョン)さんの「ナビ(蝶)」をどうぞ!

www.youtube.com