韓国ミュージカル☆ライフ

韓国ミュージカルを楽しみつくすブログ

ミュージカル『最終陳述-それでも地球は回る』日本キャスト版をごらんになった皆さまへ!-GWはソウルで韓国版『最終陳述(최후진술)』を!

去る2019年2月14日~3月17日まで浅草九劇にて、韓国の創作ミュージカル『最終陳述ーそれでも地球は回る』が上演され、好評のうちに千秋楽をむかえました。この日本キャスト版をご覧になった皆様に、このGWに韓国で『最終陳述(최후진술)』を是非ご鑑賞くださいませ!とプッシュしたい。

ちなみに今回、残念ながら東京にたどり着けなかった私は、日本キャスト版を見逃してしまいました。ソウルより遠い(気がする)東京よ・・。再演の際には、是非関西でも上演いただきたいと切に願っておりまする。

musical-saisyuchinjutsu.comおそらく、この作品をご覧になった方々の脳内では、現在、「すぷれんでぃーど!ふぁんたすてぃーこー!」とか言いつつ踊るミルトンとガリレオの姿や、「俺がファンクラブ長、ナンバーワンのファン」(日本語歌詞はいくらか違っていたかもしれませんが)と迫るシェイクスピアが脳内に焼き付いて離れないはず。そんな皆様には、いまこそソウルに旅立っていただきたい。現在ソウルの大学路(テハンノ)(最寄り駅は4号線、ヘファ)にて、『最終陳述(최후진술)』が絶賛上演中なのでございます!すでに日本語でこの作品を鑑賞された方々は、きっと脳内翻訳機を用いて楽しく鑑賞できること間違いなし(たぶん)。

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2019年3月16日~6月9日、YES24 ステージ2館(旧デミョン文化工場)にて上演

以下はスペシャルカーテンコール(撮影可能なおまけカテコがあるのです)での「ナンバーワン・ファン」

www.youtube.comこちらはショーケースでの全キャストによる「それでも地球は回る」です。

www.youtube.comもう一度ガリレオや、後悔しきりのプトレマイオスや、ノリのいいGODに会いたくありませんか?もしかしたら、運命を任される客席に座ることになるかも?というわけで、観劇の決心はされましたでしょうか・・。心を決められた方々に、1点だけご注意いただきたいことがございます。日本語で予約可能な韓国のチケットサイトとして、最も有名どころなのはグローバル・インターパークなのですが。しかし!このサイトでの『最終陳述』取り扱いはございません。『最終陳述』はもう一つのチケット会社であるYES24単独販売なのでございます。ですので、YES24のグローバルサイト(表記は英語または中国語のみ)から予約する必要があります。また、YES24は昨年から外国人(外国人登録証がある人は別)の韓国語サイトID取得を制限しておりますので、海外在住の人間がアクセスできるのはこのグローバルサイト一択です。というわけで、インターパークで「最終陳述がない・・」とあきらめず、YES24を訪れてみてくださいまし。良い観劇を!

Yes24グローバルサイトでの予約はここをクリック。

※会場のYES24Stageは、旧デミョン文化工場です(ソウル市鍾路区東崇洞1‐52(서울시 종로구 동숭동 1-52))

 YES24の認証方法変更(韓国語版サイト使用不可)に関しては以下の記事を参照ください。

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韓国ミュージカル『海賊(해적)』(2019、韓国、初演)見て来たよ―いざ冒険の旅路、海賊たちが航海する黄金の海原とは?

韓国の創作ミュージカル『海賊(해적)』が2019年3月10日から5月19日まで、大学路ドリームアートセンター2館にて絶賛上演中。300年前にカリブで活躍した実在の海賊たちをモチーフとする海洋冒険ロマン、とはいえ史実はほぼあってなきがごとし、息もつかせぬ2人芝居、110分一本勝負でございます。これは必ず大学路の人気演目になる。見た瞬間、これは後半チケットなくなるやつだ・・!と危険な香りをかぎとりました。しかも、ドリームアート2館は座席数も少ない。案の定、すでに千秋楽まで雪原(チケット予約されつくし、選択できる座席がない状態)が広がっております・・。しかし、あらゆる手段をつくし、なんとしてでも見てほしい本作品。見て来たキャストはこちら。

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 ルイス/アン:ペク・キボン

ジョン/メアリー:ヒョン・ソクジュン

ジェンダークロス・キャスティング

ミュージカル『海賊』で試みられたキャスティング方式、そしてキャラ造形と関係性の設定。まさにこれが本作品のユニークでチャレンジングな部分ではなかろうかと思われます。まず、キャスティングされている俳優さんはトリプルキャストなのですが、男性4人と女性2人。男×男、女×女、女×男、男×女のペアが可能なキャスト。基本は同性ペアで演じますが、混成ペアの回もある。そして物語上の登場人物のメインキャラクターは男性2人(ルイスとジョン)、女性2人(アンとメアリー)。上記のキャストボードをみていただければお分かりかと存じますが、俳優1人あたり男女各1人の主要登場人物が割り振られています。そう、かならず性別の異なる2役を演じることが告知されているのです。とはいえ、これだけでは革新的とまではいえないかもしれません。特に、大学路で演じられる少人数ミュージカルでは、1人の俳優がさまざまなキャラクターを演じることも多く、男性が女性を演じることもしばしばです(ミュージカル『グーテンバーグ!』など)。また、もともと男性俳優を当てることが多い役柄に、女性をキャスティングするというのも既にある(ミュージカル『ジーザス・クライスト』など)。もちろん、性別が特に決まっていないようなキャラクターを男女混合でキャスティングすることもあります(ミュージカル『光化門恋歌』や『ザ・デビル』など)。しかし、今回の『海賊』はその一歩先を行くことを宣言した作品と見た。

物語の設定上、俳優さんはどの回においても、自身のジェンダー(と想定される)とは異なる性別のキャラクターを演じることになるのですが。キャストが男性俳優に限定されていないことで、越境の方向性は元ペアの性別によって異なり得る。さらに、男女混成の回もありますので、男性と男性で、あるいは女性と女性で、そして男性と女性で、男性と男性の会話、女性と男性の会話、女性と女性の会話を演じていくことになるのです(書くとややこしいな!)。なので、俳優さんたちのジェンダーとキャラクターのジェンダーはいつも・つねに、どこかでズレており、そのパターンは無限大(いや、厳密には有限ですが)。

さらに恐ろしい(?)ことに、女海賊のアンとメリーは男装の麗人で凄腕のガンマンと剣士。単に女性的な魅力を表現すればよいわけではなく、むしろいかにカッコよく見せるかが命のキャラクターだったりして。冒険を書き留めるルイスは、繊細で細やかな感性の中にしなやかな強さが光るキャラクター。海賊船船長のジョンも勇猛果敢な知者とみえて、実は弱さを抱えつつそれを乗り越えようと努力する、暖かい「母性」あふれるリーダーであることがわかるのです。そう、あらかじめ、単に男らしく、女らしく男性キャラと女性キャラを演じればいいわけではない人物設定がなされている。ゆえに、妙に「らしさ」にこだわってしまうとキャラクターが死んでしまう。これはもう、俳優の力量がめちゃ問われる作品ではありませんか。

異性愛をこえてゆけ

女性が男性を、男性が女性を演じる宝塚や歌舞伎になじんだ観客であれば、女性俳優や男性俳優が異なる性別を演じることは、さして目新しく感じないよ、と思われるかたもいらっしゃるやもしれません。しかし、ミュージカル『海賊』は(たぶん)確信犯的にぶっこんできました。そうした観客の目にも新しい攪乱要素。この物語は異性愛ではなく、同性どうしの恋愛関係を描くのです。しかも、男性同士という「スリルミー」型ではなく、女海賊アンとメリーの恋愛。このお話のラブラインはこの2人の話だけ。男装の麗人たちは、お互い剣をぶつけ合い命のやり取りをする戦いの場において、その技量と勇敢さに惚れ、互いを無二の存在と認め合い、愛し始めるのです・・って、今までだったら(BL等では)それ、男性キャラクターの十八番では?という展開な、超カッコいい二人。キャラクターの性別はガッツリ女性の設定ですが、時に男性同士の俳優さんが、時に女性同士の俳優さんが、そして時に異性ペアの俳優さんがこの「女性同士の恋愛」を演じます。しかも、どのパターンで見ても、二人の最後のシーンは泣ける。

最後に見える風景は

このように、ジェンダーセクシュアリティの多様なあり方を、まさに毎回実験して見せる、ミュージカル『海賊』。女性が演じる男性の繊細さにときめいたり、あるいは男性が演じる女性の勇敢さやセクシーさにドキドキできる本作品。最後に見えてくるのは、どのような身体の下にあっても、男性性や女性性は、その時々の関係性の中で演じられていくものなのだ、という可変性なのです。型にはめられないジェンダーセクシュアリティを想像する楽しみ、それは性別がなくなることではなく、何十にも男性性や女性性が積み重ねられることで生まれる魅力なのだと「感じ」させてくれる本作品。この熱き想いを胸に我々はどうすべきか。きっと、雪原(チケットの全くない状態)にたたずみ、「再演希望ー!DVD化希望ー!」と叫ぶよりほかないのでありましょう。OST(CD)は出るとの噂ですよ。

ゴールデンウィークの韓国旅行におススメ!2019年春の韓国ミュージカル3選

GWに韓国旅行をご計画中の皆さま。韓国で何を食べよう?何して遊ぼうと夢想しつつ仕事(や学業等)に励んでおられるかと存じます。そんな旅行先での選択肢の一つとして、韓国でミュージカル鑑賞タイムを持たれるのはいかがでしょうか?というわけで、おススメミュージカル3選です。想定するのは、日本ではたまにミュージカルを見るけど、韓国では見たことないなーという方や、もっぱら韓国ドラマやK-POP専門です!という方、年末年始に『エリザベート』と『ファントム』を見てきました!これからガンガン韓国ミュージカルを見ていくよ、とおっしゃるあなた。韓国語がわからなくても楽しめる、ライセンス系作品2つと、軍役中のアイドルや俳優さんたちが出演する軍制作のミュージカルをおすすめしちゃいます。

※興味を持たれた方は、ミュージカルのタイトルをクリックしてください。日本語でチケット予約ができる、グローバルインターパークのチケット詳細ページに飛びますよ!

安定のクオリティ『ジキル&ハイド

 韓国の人たちが大好きなミュージカル演目と言えば、『レ・ミゼラブル』でも『エリザベート』でもなく『ジキル&ハイド』だったりいたします。ガンガンに押してくる韓国版『ジキル&ハイド』と客席の半端ない盛り上がりは、ミュージカル見たなー!とういう満足感を与えてくること間違いなし。

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フランク・ワイルドホーン作曲のパンチの利いた音楽が全編を覆う本作品、特に1幕後半に歌われる、「時は来た(지금이순간、This is the moment)」の人気は高く、韓国では、ドラマやバラエティののど自慢から友達の結婚式に至るまで、絶対すきあらば誰かが歌おうとする一曲なのです。ぜひここ、力をいれて聞いていただきたい。では、いったい誰の「時は来た」を聞くべきなのか。今回ジキル&ハイド役にキャスティングされているのは4人の俳優さんです。4人もいるのかよ!と迷われるかもしれません。ええいままよと観劇可能な日にちで選んでも、まったくもって無問題な大当たりメンバーですので、ご安心ください。一応解説しておきますと。もっともチケットが取りにくいのは、彼の『ジキル&ハイド』を見たい!と思う韓国のジキハイファンが多すぎるチョ・スンウさん。映画(『インサイダーズ』等)やドラマ(『馬医』や『秘密の森』)でもおなじみのあの俳優さんです。演技だけでなく歌も激うまなんですよ。そして、ミュージカル界の至宝パク・ウンテさん、ミュージカル界の王子チョン・ドンソクさん、野球選手から転身したという異色の経歴ミン・ウヒョクさんが出演中。円熟のチョ・スンウか、後光さすパク・ウンテか、麗しのチョン・ドンソクか、ライジングスターミン・ウヒョクか。個人的には、チケットがあるならチョ・スンウさんを、次点でパク・ウンテさんをおすすめしておきたい。

劇場はこちら:シャルロッテシアター(コネストコリアの記事にリンクします)

劇場は地下鉄2号線・8号線蚕室駅に近接する ロッテワールド、ロッテ百貨店やロッテホテルの一群にふくまれるロッテの劇場。ロッテワールドで遊び、タワーで優雅にお茶やごはんを楽しんだ後観劇するのにぴったりです!

予習素材もたくさん『キング・アーサー

ドーヴ・アチアの音楽が光るフレンチミュージカル『キング・アーサー LA LEGENDE DU ROI ARTHUR』が、現在ソウルで上演中でございます。しかもチケットGWディスカウント中で3割引き。日本のS席にあたるVIP席が、通常140000ウオンのところ98000ウオン(9800円くらい)となっており、かなりお得感がありますよ。また、『キング・アーサー』のフランス原作版はYouTubeにて全編が公開されておりますし、この『LA LEGENDE DU ROI ARTHUR』をベースとし、宝塚月組公演『アーサー王伝説』もAmazonプライムビデオで視聴が可能です(有料)。韓国語オンリーに不安を感じるならば、ざっとこれらに目を通し、予習をしていくことをお勧めしたい。が、結局韓国版の結末は、どのバージョンとも異なるものになっているので、油断は大敵なのです(詳細は以下の過去記事を参照ください)

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劇場はこちら:忠武アートセンター(コネストコリアの記事にリンクします)

劇場は地下鉄2号・6号線新堂駅すぐにあります。2・4・5号線東大門歴史公園駅から一駅で、歩ける距離。ソワレを観劇後、東大門のナイトマーケットに繰り出して、タッカンマリなどを堪能するのも一興です!

光州旅行のついでに!『新興武官学校(光州公演)

残念ながらGWにはソウル公演が終了してしまっているミュージカル『新興武官学校』。GW中には地方公演として、光州での公演が予定されております。この作品は、軍隊入隊中の俳優やアイドルがキャスティングされている軍ミュージカル。2年間は会えないと思っていたあの人に会える・・ということで、出演者ファンの間で大人気の作品です。また、この作品の創作陣は、韓国の演劇文化の中心地、大学路(テハンノ)で大人気ヒット作をつぎつぎに生み出している実力派。ここ、実は重要ポイントです。『新興武官学校』をみて楽曲のすばらしさを体験してしまったたあなたは、すでにディープな韓国ミュージカルの世界へと、知らず知らずのうちに第一歩を踏み出してしまっているのですから!

というわけで、この際光州までいっちゃう?ついでに映画『タクシードライバー』や映画『光州5.18』などを手掛かりに、光州事件へと思いをはせる旅に出ちゃう?そんな歴史旅のおともに『新興武官学校』もよい・・かもしれません・・いいかな・・?(私が言いよどむ理由は、過去記事を参照のうえご推察ください)

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GW中のキャストスケジュール

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고은성=コ・ウンソン/ 강하늘=カン・ハヌル/

김성규=キム・ソンギュINFINITE)/조권=チョ・グォン(2AM)/

이진기=イ・ジンギ(SHINee

 

光州へはソウル駅から1時間40分ほどです。

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