韓国ミュージカル☆ライフ

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ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」(宝塚星組版・2017年)みてきたよ!-勇気とユーモアにワクワクさせられるパーシーが素敵

ミュージカル「スリル・ミー」の感想がいまだ途中ではございますが。速報(個人内速度にて計測)。ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」宝塚、新生星組バージョンが2017年3月10日~4月17日まで宝塚大劇場にて絶賛上演中でございます。さっそく見て来た報告をさせていただきたく。

韓国版のミュージカル「スリル・ミー」が2007年からことしで10周年を迎えるとしたら、今回「スカーレット・ピンパーネル」でパーシーを務める紅ゆずるさんは2008年に新人公演パーシーを演じて以来の9周年(何の比較にもなっていないきもするが)。なんだろう、とりあえずめでたい!ということで。

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(宝塚の「スカーレットピンパーネル」は誰が何といってもパーシーが主役!)

宝塚版の魅力「ひとかけらの勇気」力

宝塚版の「スカーレットピンパーネル」は、東宝版で上演されたものと異なり「王太子ルイ・シャルル救出」といいう使命が加わっております。このため、お話の密度がアップして、とても活劇としての魅力も倍増。さすが宝塚。フランス革命を描かせたら宝塚の右にでるものはございません。どれだけ宝塚大劇場フランス革命が起こっているとお思いでして?と言う状態なのです。

また、宝塚版用に書き下ろされた「ひとかけらの勇気」が、パーシーとマルグリットのすれ違いを解消し、二人の絆を確かなものにする役割を果たすのですが、この「ひとかけらの勇気」という楽曲がいい。自由を追い求め続ける勇気を持つことの重要さ、それを自分が行動することの必要性とともに語る歌。ロベスピエールたちの革命が恐怖政治へと変わりつつある中で、自分が行動を起こすことの必要性を「自分の決意」として歌い上げるこの歌は、人々を魅了し、人々を立ち止まらせ、本当の幸せとは何かを考えさせるのです。さらにいえば、この「ひとかけらの勇気」があるからこそ、ロベスピエールの(新曲)「ロベスピエールの焦燥」も、そして民衆の狂気、群集心理を象徴するような「マダム・ギロチン」が引き立ちもするのです。光がまばゆいほどに、影も濃くなる。月影先生(「ガラスの仮面美内すずえ白泉社)も言っていたではありませんか(確か)。

PPAPネタがここにも!

さて、昨年から世間をにぎわせるPPAP、ピコ太郎ネタでございますが。ついに18世紀フランスにも上陸(?)。紅パーシーは礼真琴さんのショーブランに君ももっとおしゃれしなよ!とピコ太郎ファッションを進めるアドリブシーンがあるのですが。すでに進化しつつあるのか、私の見た回ではショーブランがパイナップルを進められたときに一瞬考える間が挿入されておりました。これはいつの日か、ショーブランのPPAPがみられる時がくるのではなかろうか(いやない)!

このように「スカーレット・ピンパーネル」はアドリブ満載で飛ばしてまいります。それはパーシーというキャラクターの設定が、朗らかでユーモアあふれるちょっと馬鹿っポイ(ふりをしている)美丈夫というものだからでもあるのですが。紅ゆずるさんのキャラと相まって、人間力爆高、魅力あふれるパーシーに、内定出まくりなのでございます(なんの人事?)。

とはいえ、このパーシーの朗らかさを支えるのがダークサイド担当ショーブランとロベスピエール。この二人のダークな魅力もたまりません。もちろん綺咲愛里さんのマルグリットのフェロモン出具合もバッチリで、心があらわれること間違いございません。ワイルドホーン節に脳内が占拠されることも間違いございませんがね、「まだむぎーろちーん」(そっちか!)。

 

 東宝版の感想も書いていましたねー

pokos.hatenablog.com

pokos.hatenablog.com

 

 

ミュージカル「スリル・ミー」(韓国キャスト、2017年10周年版)見て来たよ-伝説はダテではない!チェ・ジェウン、キム・ムヨルペア編(2)

ミュージカル「スリル・ミー」もう御覧になられましたでしょうか。OSTは販売と同時に長蛇の列が生じ、そしてあっという間に第一次入荷分が売り切れたというすさまじさ。韓国版「スリル・ミー」2017年2月14日~5月28日まで、ベガムアートホールにて上演中でございます。地下階の劇場入り口には10周年記念(?)歴代キャスト一覧表も設置されておりまする。f:id:pokos:20170308224736g:plain

さて、前回まえフリだけで肝心の感想までいきつかなかったチェ・ジェウン、キム・ムヨル(ウン・ム)ペアの観劇記、続きとまいりましょう!

呼吸さえ浅くなる緊張感

「伝説のウン・ムペア」はまさに韓国スリル・ミーの総本山。元祖あるいは本家というにふさわしい、セクシャルなモノが極限に隠蔽された(だからこそ、実は強烈にセクシャルな)男同士のアツイ絆。韓国映画が得意とするような、オッサン同士のもやもやした阿吽の呼吸が見事に表現されていたように思えます。二人はまさに対等な力関係で幼いころからの同士でもある。でももちろん、そこには社会的に言われる「友情」以上の何かがあることが両者に自覚されているのです。そして、彼が私を試したり、それをわかって許容したりする「ゲーム」が彼らの間には成立している。まさに「共犯関係」にある二人。

そんな緊張感あふれる駆け引きが根底にある中での一場、バードウオッチングからの流れ、「彼」登場時の「私」の反応が秀逸なのです。純粋に彼が待ち遠しく、彼に合えたことがうれしすぎる様子が「私」からあふれる中に、「私」が彼とのやり取りの中にドキドキしている(恋のトキメキだけではなく、何らかのスリル。だからこそのセクシャルなドキドキ)様子が紛れ込んでいる。ここ、チェ・ジェウンさんの表情、声、間がうまい。そしてそれをうけるキム・ムヨルさんの「ちょっとアホっぽいヤンキーなボンボン」リチャードも絶品。この作品は、最初のシーンで表現された二人の関係が、後半の流れを決定してしまうともいわれているのですが、もう、二人の演技プランは完璧だと思われる。この最初あっての、最後の台詞「スリル・ミー」なのです。この流れが自然。だって出会った瞬間それ確認してたよね!と実感できる。そしてだからこそ、「너무 멀리 왔어Way Too Far」が染みるのです。もう・・ね。もう、見てください!!!と叫ぶほかない。

ジェウン「私」の良妻ぶりとムヨル「彼」のアホぶり

・・ちょっと冷静さを取り戻しまして。

このペアでまずもって心奪われるのはチェ・ジェウンさんの「私」キャラ。サイコでもワンコでも魔王でもない「本家」スタイルとはこのことか(サイコも魔王も好きだけれど)。まさに「共犯者」として「彼」によりそう「私」なのです。最初の場面でリチャードがたばこをくわえ火をかせと「私」に言うシーン、ここはペア事の解釈がかなりわかれており、二人の関係性がよく見えるのですが。チェ・ジェウン「私」は背後で完璧にマッチスタンバイオッケー。「彼」がタバコ吸うかもという空気をかもしたとたん、身についたものとしてすごく自然にマッチを差し出す「私」。この絶妙な間が二人の特別な歴史を感じさせる。しょっぱなからやらかしてくれますよ。この後、「私」が皆がリチャードを望んでも、「私」ほどではないと歌うのに納得しまくりです。私もそう思ったよ!と観客たちは心の吹き出し(音楽・演劇マンガ的表現)で叫んだことでしょう。きっと。

さて、できた妻にはえてしてアホ旦那が似合うというのが物語の常(?)。ウン・ムペアもこのセオリーに違わない。キム・ムヨルさんの「彼」はまさに「ガキ」。火付けで興奮しているときに上着を半脱ぎして「かもーん!」な様子を見ると、「おいおい、落ち着けよお前」とたしなめたくなる子どもっぷりなのです。それをニコニコ見守り、かつ自分も結構楽しんでいる「私」。もう、勝手に二人でよろしくやっておいてください!とみてるこっちが照れちゃうほのぼのラブ(いや、放火シーンなのですが)。もちろんその背景には、犯罪によってエクスタシーを得ている「彼」、それをみてさらなるエクスタシーを感じちゃう「私」という構造も見え隠れする。た、たまらん・・と、それぞれの表情をオペラグラスでガン見すること間違いなしなのです。

 

と、まだ前半の感想しかかけておりませんが。時間切れ!ということでこの感想はまだ続くのでありました!ひゃっほー(変なテンション)。

 

 

 

 

ミュージカル「スリル・ミー」(韓国キャスト、2017年10周年版)見て来たよ-伝説はダテではない!チェ・ジェウン、キム・ムヨルペア編(1)

ミュージカル「スリル・ミー」今年の韓国版はすごいらしい――。韓国版「スリル・ミー」2017年2月14日~5月28日まで、ベガムアートホールにて上演中でございます。韓国では2007年から毎年(!)上演される人気演目である本作品、今年はとうとう10周年を迎え、歴代人気ペア・俳優さんがキャスティングされ、チケット争奪戦が繰り広げられるわ、ファン待望のOSTもついに出るわということでえらいことになっております。中でも、もっともチケットをとれないといわれるチェ・ジェウン、キム・ムヨルペア。彼らは「伝説」のペアとも呼ばれ、日本キャスト版が上演されたさいに来日公演も果たした二人。もしも3月中に渡韓される機会があるならば、ぜひとも見ていただきたいペアなのでございます。

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 (長年連れ添った夫婦のような半端ないケミが味わえます!)

「伝説」とは?

チェ・ジェウン、キム・ムヨルペアはその名の一字をとって「ウン・ム」ペアともいわれ、絶大な人気を誇っています。スタンプカードのハケ具合も群を抜いている。2007年の初演時から参加されているこの二人、2010年にペア結成したときには(組あわせ順の問題もあり)強烈なチケット争奪戦のあまり、見ることができた人がほとんどいなかったという「伝説」が。また、彼らは、時には暴君、時にはビッチ(リチャード)、良妻賢母になったり魔王になったり、クールなシティーボーイコンセプトを試したり(ネイスン)さまざまな演技プランでキャラを模索し、ファンを魅了してきたわけで。もちろん、それらのすべてがファンに受け入れられたわけではないし、すべてのキャラづくりが完璧だったわけではないようですが、それでも初演から積み上げた演技の成熟度は素晴らしく、ファンは彼らをもっと見たい!と熱望したのでした。しかし、ファンのアツイ想いにもかかわらず、2010年公演終了時にキム・ムヨル俳優が「もうリチャードは演じない」とファンに告げたこともあって、ペアの「伝説」化は加速。2012年に日本キャストで上演がされた際一時的に再結成されたものの、もう彼らを見ることはできないのか・・と、毎夜多くのファンが枕を涙で濡らした(かもしれない)のでございます。そんなこんなで2017年、彼らが返ってくるとあっちゃあ、あなた。見ないわけにはいかないでしょう。もちろん、スリルミー初心者にもおすすめです。韓国スリルミー10年の重みを感じさせるこの重鎮のケミを堪能いただきたい。

 二人の不思議な空気感はこちらで感じてみてください

 さてこの二人、舞台上では長年連れ添った夫婦のような絶妙な間が素晴らしいのですが。舞台上の緊張感を取り去った姿が見られるのがこちらの映像。プロフィール撮影現場でのインタビュー。

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お二人は、10年間一つの作品が多くの人に愛されてきたことを喜ぶとともに、それに力を得ているとおっしゃっており、ファンへの感謝を述べられています。久しぶりに練習をやってみたけれど以前の感覚があっていい感じだったとチェ・ジェウンさんが言うと、キム・ムヨルさんはひととおりチェ・ジェウンさんをほめた後、ジェウンさんが作り上げているのが、ほかの方々とは異なる、頭の良い、悪く言えばずるがしこい「私」だと指摘されています。また、練習の過程で、(時間がたったからこそ生まれてくる)以前とはちょっと違う感じもあるのでそこを発展させてみるよ、とも。そして、観客がいてこそ完成する部分もあるはずなので、この10周年という「お祭り」を盛り上げていきたいという話をされております。お互いが話しているときに軽くうなづいたり、ちょっと吹きだしたりする様子に、この二人の「間」が感じられもする。そして彼らがどんなタネを「発展」させたのか。舞台をみてこそ「あれだったのかも!」と思う部分があるかと存じます。ですので、観劇前にこの映像をみて、そして観劇後に再度ごらんいただけるとさらに味わい深いものがございますよ!きっと。たぶん。メイビー。

 ペアスタンプを集めよう

 さて、ミュージカル「スリルミー」は何度も見るファンが多数を占める作品。今回も再観覧は当然ですよね!ということで「スリルミー再観覧カード(スリラーカード)」が発行されております。ペア別カードが選べる今回、ペアごとに押してもらえるスタンプも異なります。ペア別カードに、ペア別スタンプを集めるべきか、すべてのスタンプを集めるべきか、悩ましいところ。ちなみに、チェ・ジェウン、キム・ムヨルペアのスタンプは、「タイプライター」でございます。彼らがくじ引きでスタンプの種類を決めてくれる様子は以下の映像からどうぞ!

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スリラーカードの詳細はこちらの記事に。

 

pokos.hatenablog.com

 ・・・って、感想までいきつかなかったよ!