韓国ミュージカル☆ライフ

韓国ミュージカルを楽しみつくすブログ

韓国創作ミュージカル「MATAHARI(マタハリ・마타하리)」日本キャスト版上演決定!ですってよ。

第一次世界大戦中、フランスとドイツのダブルスパイとして処刑された美貌のダンサーを主人公とするミュージカル「MATAHARI(マタハリ마타하리)」。現在韓国では、2017年6月16日~8月6日まで世宗文化会館にて絶賛上演中。本作品は韓国のミュージカル企画会社EMKが「世界にライセンス販売できるミュージカルを作る!」という野望にもえて制作したミュージカルでございます。昨年度からさまざまな韓国内のミュージカル賞を受賞してハクをつけ、このたび、めでたく日本に売れたことが明らかになりました。ヨカッタねオム代表(EMKの代表。もちろん面識はない)。でもまだ再演版は見に行けてません!

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加藤和樹さんがラドゥとアルマン両方を演じるとな)

現在韓国で上演中の「MATAHARI」は2016年に続く再演版。PLYDBの記事(공연의 모든 것 - 플레이DB)にその変更点などがまとめられているのですが、今回、曲の追加、派手なセットによる勢い演出よりもじっくりドラマを描くことへのシフトなどが試みられたようす。たとえば、観客がキャラクターの人生への共感度を高められるようにする、という意図のもと演出がなされた、とか。マタハリ・アルマン・ラドの三角関係をよりスリリングに描けるよう駆け引きの要素を加えたとか。

確かに去年は立体小部屋配置あり、回り舞台あり、飛行機離陸あり、大型ミュージカルの売り演出を全部やりますよ!みたいな盛りだくさんなところがございました。さらにはワイルドホーン節がききまくった歌い上げ曲の連続で、かつみんなものすごく歌えるメンバーぞろいだったがために、見終えるとものすごくハイになるし満足感をえられるのですが、ある意味おなか一杯過ぎてぐったり消耗するほどでした。エネルギーに満ち溢れすぎていて逆に吸い取られるといいましょうか。とりあえず、フォアグラとステーキに松茸とトリュフもトッピングしといたよ!あ、燕の巣もいる?みたいなサービス精神にあふれていた。

それが、もう少しすっきりしたもよう。

とはいえ、冒頭、マタハリ役の俳優さんががんがん本気で踊るダンスシーンもなくなったようで。オク・チュヒョンさんたちのムッチリナイスバディが露出するセクシー衣装にドキドキできなくなったのは残念といえば残念です。

(妖艶さをこれでもかとアピールする冒頭ダンスシーンの衣装)

最後の処刑シーンの衣装も黒に変更されたとのこと。初演において、あれは赤であることに意味があった・・と思ったので、ここに至る流れが相当変更されたのかもしれません。

ともあれ、日本版キャストで、このアツイ・主張ガリガリな人々が繰り広げる濃ゆい韓国風味がどのように調理されるのか。とても楽しみです。お色気むんむん(MATAHARIはむんむんな役です)な柚木さん・・た、楽しみすぎる!

ちなみに、EMK社長について熱く語った記事はこちら。

pokos.hatenablog.comマタハリのラストシーンへの、奇妙な思い入れを語った記事はこちら。

pokos.hatenablog.com

ちなみに、2017年韓国オリジナル「MATAHARI마타하리」の予告はこちら。え、十分今回もこってり系じゃないかって?

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小ネタ-ミュージカル「ヘドウィグ」韓国キャスト・2017年、マイクル・リー様は英語でトーク??

ミュージカル「ヘドウィグ」、2017年・韓国キャスト版が2017年8月18日~11月5日まで弘益大大学路アートセンター大劇場にて上演予定でございます。現在インターパークチケットにて単独販売中でございます。

今年のヘドウィグには、オ・マンソク、ユ・ヨンソク、マイクル・リー、チョン・ムンソン、ジョ・ヒョンギュンがキャスティング。これを見たとき、マイクルは何語でトークを繰り広げるのであろうか?と疑問が浮かびました。ご存じの方も多いとは存じますが、ミュージカル「ヘドウィグ」は、彼女/彼のつぶやきともいえるような語りによって展開する劇。「語り」の部分が多く、さらに客いじりなど即興的なやりとりも少なくない。ほぼ一人劇のおもむきなのです。いつのまにやら、マイクルさまはこれを韓国語でできるほどに修行(?)を積まれたのであろうか?

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とおもいきや、彼の回は原語(英語)公演となる模様。チケット販売ページの公演観覧案内には「マイクル・リーの公演は別途字幕なく英語で行います。チケット購入時にはご注意ください」との記述がございます。欧米か!(古い)。

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現在オープンしているチケットは9月10日まで。その間にマイクル・ヘドウィグは赤で囲まれた部分の4公演のみ。特別公演というような位置づけになるのでしょうか。ともあれ、今季、会場の笑いには、時差が生じること必至!

※マイクル・リー(Michael Lee)俳優は、スタンフォードで心理学を学んだ異色の出自をもつ韓国系アメリカ人のミュージカル俳優さんです。ブロードウェイでもミス・サイゴンなどに出演。韓国でも「ジーザス・クライスト・スーパースター」や「ノートルダム・ド・パリ」でその透明感ある歌声を披露している。2016年からはJTBCで放送中の「ファントムシンガー」にプロデューサーとして参加中。・・って、ご存じのかたには蛇足でございますが。基本的に会話は英語な俳優さんなのでございます。

ミュージカル「グレート・ギャツビー」(東宝版、2017)見て来たよ!-宝塚トップスター?な井上芳雄さんを堪能できるよ

たいへんご無沙汰しております。皆様いかがお過ごしでしょうか。韓国「スリル・ミー」ロス後あっというまに時は過ぎゆく。韓国では夏の大型ミュージカルがこぞって開幕。みなさま夏の観劇プランは整いましたでしょうか?

さて、久しぶりの更新となった本記事ではございますが。今回報告するのは韓国ミュージカルではございません(スリル・ミーの残り記事は、いまだしつこくアップしたいと妄想しておるのですが)。

宝塚歌劇小池修一郎演目の金字塔。「グレート・ギャツビー」の非宝塚バージョンを見てまいりました報告。もちろん、ギャツビーを演じるは日本が誇るミュージカル界のプリンス井上芳雄日生劇場で2017年5月8日に幕を開けた本作品。6月3日~15日まで愛知・中日劇場、そして大阪・梅田芸術劇場では7月4日~16日。とうとう関西にやってまいりました。この後、博多座7月20日~25日と公演は続きます。ハイライトCD発売も決まり、絶好調。

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(「全てを手に入れた男が、ただひとつ手にできなかったのは、愛―。」のコピーと共にたたずむ井上芳雄さんのオーラやいかに??)

小説のミュージカル変換

スコット・フィッツジェラルドによる原作小説は、アメリカ文学を代表する作品の一つ、と評される超有名作品。その文体や視点の取り方、ギャツビーを通じて描かれる当時のアメリカ社会。論じるべきところあふれる名作でございます。とはいえ、そもそも小説の物語を舞台に置きなおしたとき、視点のおきかた(誰の目を通して物語を見るか)は変化せざるを得ない。舞台はなんといっても生身の人間がわんさかと一つの場所に出てくるわけですから。なので、小説版にあった空気感はミュージカルにおいて何らかの形に解釈しなおされ、変換されなくてはならないわけです。その一つの見どころとして、ギャツビーのカリスマ度、というのがあるのではないでしょうか。

というのも今回、小池版ギャツビーは「宝塚の魔法」の粉をまぶして完成するギャツビーであるのだな、と実感いたしました。もちろん東宝版を作成するにあたり、さまざまな手直しがはいったということです。しかし。下に張り付けた舞台映像冒頭12秒目あたりにあるギャツビーの登場シーン。「私がギャツビーです」と名乗りを上げ、階段から降りてくるシーンに要求されるスター・オーラーは、なんというか宝塚のトップスター・オーラな気がする。ここで、劇場の雰囲気を一気に掌握し、ギャツビーに観客の視線を集中させることができるか否かが、役者さんには問われるのです。こ、これ、相当大変ですよ!

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宝塚のトップスターの輝きは、観客との信頼感や組のシステムなどガッツリとした安定感のうえに放たれるもの(たぶん)。それを今回の演目のために結成されたカンパニーにおいて、急速になしとげなければならない。はたしてそんなことできるのか??

ーー一幕目はややスター・オーラシンクロが「もう少しあってほしいかも」と思わされる部分が目についた。そこでは、小池演出と、井上芳雄という役者のオーラがぶつかりあい、ギャツビーという人物としてのしっくり感が足りない気がしてしまったのです。

「この役、パク・ウンテさんで見たいなー。韓国でも上演してくれないかな」などと脳内でつぶやいてさえしまった(申し訳ない!でもウンテさんにも演じてほしい・・)。

しかし、二幕からの怒涛の展開において、一幕での感想を恥じました。井上プリンスのデイジーの愛を信じて疑わないギャツビー(よく見てみろ、デイジーはそんな女じゃないぞ!と言ってあげたくなるような)の、前しかみてない危うさと純粋さ、その狂気のようなものに、ガツンとやられたのでした。

なんだろう、これは宝塚?とおもうような動作も板につき、「女性に演じられる理想の男性」を「演じる男性」として一つの到達点を見た・・かもしれない。いや妄想かもしれないけど。

そしてあらためて、宝塚版も見たい!と強く想いもしたのでございます(あるいは、韓国版。イ・ギドンさんもお父さん役で再登場というのはどうでしょう)。