ミュージカル「ゴーン・トゥモロー」観覧記(1)-SFパラレルワールドな歴史モノだとおもうべし!

韓国創作ミュージカル「ゴーン・トゥモロー」見てまいりました。キム・スロプロジェクト第19弾。2016年9月13日に幕をあけ、11月6日までクァンリムアートセンターBBCHホールにて上演中。見て来たキャストはこちら!

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キム・オッキュン:カン・ピルソク

ホン・ジョンウ:キム・ジェボム

高宗:チョ・スンチャン

イ・ワン総理:イム・ビョル

和田:カン・ソンジン

インターパークチケットグローバルの作品紹介によりますと「ミュージカル「ゴーン・トゥモロー」は、朝鮮王朝時代末の混乱した時代に国を救おうとする革命家、金玉均(キム・オッキュン)が主人公。金玉均と朝鮮初のフランス留学者となった洪鐘宇(ホン・ジョンウ)、そして変化の波の中で生き残らねばならなかった王、高宗(コジョン)による実際の事件をモチーフに創作された物語だ。」とあります。この文章の内、「実際の事件をモチーフに創作された物語」が重要ですね。ここ、赤ペンでマークしておいてもよいくらいです。ぐりぐり。

大胆過ぎる創作エッセンス

そう、この作品を歴史劇とみるなかれ。実際の事件はモチーフに過ぎない。というか、歴史上の人物も名義貸しに近い。本作品はいうなればSFパラレルワールド歴史劇。現在も朝鮮王朝が続いていたら?という想像力のもと描かれたマンガ原作ドラマ「宮~Love in Palace」と同じレベルといえるのではなかろうか、な大胆創作でございます。もう、別世界の歴史だから。イワン総理って誰?的な。

特にホン・ジョンウは、君誰脚色がなされています。日本でフランス留学資金をためて渡欧したという部分などは本当らしいのですが。当初は九州で労働にいそしみ、その後朝日新聞社の植字工として働き、留学資金をためた・・・はずがなぜか風呂屋でバイト。日本といえばお風呂という発想なのでしょうか?そのセレクトが謎。たぶん風呂屋の賃金は安いぞ。しかし、ハッピのような衣装がキム・ジェボムさんには妙に似合っていて、ほほえましかったりするからアレなんですが。ええい、SF万歳!

さらに、キム・オッキュンや彼を慕う開化派メンバーズや、おフランス帰りのホン・ジョンウの基本衣装はびしっと三つ揃えスーツあるいは、白シャツ着用のすがすがしさなのですが。ズボンに白シャツインな立ち姿には、サラリーマン的魅力さえ漂う。スーツ姿のさいにも、韓ドラの財閥子息キャラ?というちょっとおしゃれな模様がはいったジャケットだったりして。いまはいつの時代ですかー、と叫びだしたくなることまちがいない。でも、いいんです、キム・ジェボムさんとカン・ピルソクさんに似合ってるから(以下略)。

ちなみに、ネットニュース「未来韓国」2016年3月28日記事、「キム・オッキュンとホン・ジョンウの交錯する運命(김옥균과 홍종우의 엇갈린 운명 - 미래한국)」によると、リアルホ・ジョンウは留学中、東洋ブームに沸くフランスで、ギメ博物館の資料整理などをしつつ生計をたてておりました。当時文化人のたまり場だったカフェ「ドゥ・マゴ」にも頻繁に足を運んでおり、朝鮮からの留学生として注目を集めた模様。そこでは「朝鮮の韓服紳士」と呼ばれていたというエピソードが紹介されております。

Wikipediaに掲載されているホン・ジョンウの写真。もちろん三つ揃えのスーツなど着ていない)。

確かに、オッキュン暗殺の風刺画に描かれているホン・ジョンウ(右)も、スーツは着ていません。というか、「ゴーン」では上海に向かう船上で暗殺されてましたよ!

Wikipediaより、日本の新聞に掲載された金玉均暗殺の図)

そもそもオッキュンだって、甲申政変のころからスーツは着てなかろう。政変を起こしたのは朝鮮半島に外国勢力が流入し始めてまだ10年とかそのあたりの時期ですからね。開化派とはいえ、朝鮮国内では官衣でしょ!しかも、着てるスーツのシルエットが現代的すぎやしないか!というツッコミどころ満載です。

このように、スーツ着用に関してだけでもツッコミの尽きない本作品。しかしその大胆想像力の面白さは、果てしなくひろがり、どこまでも羽ばたいていくのです。どこにいくのだー!・・・ということで、長くなりそうなのでその話は次回(え!)。