韓国ミュージカル☆ライフ

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ミュージカル「ゴーン・トゥモロー」鑑賞記(3)-おじさんたちのアツイ想いを堪能しよう!

ミュージカル「ゴーン・トゥモロー」鑑賞記の続きでございます(狎鴎亭BBCHホールにて、2016年11月6日まで上演中)。しつこいですね。スミマセン。

さてこのミュージカル、歴史モノの名をかりつつ(?)、「男同士のアツイなにものか」がえがかれます。もちろん中心軸には、キム・オッキュン-高宗(忠臣とその忠義を疑う王)、キム・オッキュン-ホン・ジョンウ(革命家と暗殺者)という関係性があるのですが。ちなみに、劇中では強烈にキム・オッキュンーホン・ジョンウ押し演出がなされます。実に、女性ファンを狙い撃ちしたつくり。狙われているのがわかっているのに、落ちていくこの悔しさよ・・。

オッキュン先生「姫」説

そもそもこの物語で、キム・オッキュンは信念の革命家として描かれ、日本人だろうがなんだろうが魅了してしまう超「人たらし」な人物としてキャラクター化されております。それはもう、全員からモテモテしちゃってこまっちゃう、のキャンディ状態。暗殺者として送り込まれたホン・ジョンウも、彼の冷静で崇高な人格と(カン・ピルソクさんのキラキラおめめがその想いを加速する・・)純粋さに心揺さぶられます。こ、この人をころしていいのだろうか!ってなもんです。結局殺してしまいますがね(でないと話が進みませんから)。

で、その葛藤が1幕最後から2幕はじめに展開するのですが。そんな中にあって、おそらく、多くの観客が「な、何だろうこのトキメキは!」と胸キュンしてしまうシーンの一つがこの映像の場面。

www.youtube.com「フランス帰りのホン・ジョンウに、キム・オッキュンがフランスの人たちに流行している踊りを教えてくれと頼む」場面です。とっても無邪気にオッキュン先生はホン・ジョンウのいうなりにダンスを楽しみます。おっさん二人がダンスする姿になぜか胸キュンしてしまう。しかも、このシーンは、まさに上海を目前にし、ホン・ジョンウが自分を殺そうとしていることがわかっているオッキュン先生が自分の死を悟りつつも、ホン・ジョンウの生き方を肯定してあげるという流れの中で出てくる。こ、これはホン・ジョンウでなくてもヤラレルだろうよ。

高宗の愛(憎)を一心に受けるよ

そして、高宗とオッキュンの関係もなかなか興味深い。甲申政変のさい、高宗はオッキュンの意見に従って改革を進めようとします。しかしその改革は結局軍事力を伴うことができず、失敗。このミュージカルでは、高宗はこの失敗を期にオッキュンは自分を捨てたと逆恨みし、オッキュンを罰したいという欲望に取りつかれ、その考えに執着します。オッキュンはかわらず高宗への忠心を抱いているのですが、朝鮮半島での力を失い、もはやどうすることもできない。高宗がオッキュンの暗殺をホン・ジョンウに命じるシーンや、彼の死体を朝鮮八道に引き裂いて埋めることを夢想するシーンなどには、高宗がむしろオッキュンを深く信頼(愛?)していたからこその絶望が垣間見えます。いやー、ここもツッコミどころ満載というか、なんといいましょうか・・。

さて、そんな高宗がおくる刺客がホン・ジョンウなのですが。オッキュン先生の魅力にくらくらしてしまったジョンウ氏と、オッキュンへのなみなみならぬ愛(憎)に固執し続ける高宗。オッキュンの死後のこの二人の関係は、ますますSF度をまして「創作」されていくのでした。つか、歴史かわってしまってますよ。誰が大韓帝国の太皇帝になるのー!

しかし、オッキュン先生を中心とした彼らの関係は、その感情を考慮していく限り、きっとああなるよりほかないと思わされもするのですが。むむ。