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ミュージカル「フランケンシュタイン」の迫力を支えるもの‐スチームパンクなセットが火を噴くぜ!

ミュージカル「フランケンシュタイン」のマッコン(千秋楽)がいよいよ迫っておりますね。足を運べない私は、遠方からしつこくこの作品の魅力について考えております。今回取り上げるのはセット。この作品の世界観を支えるのに重要な役割を果たしているものとして、ビクターが人造人間をつくるために制作したらしき「人間ガシャポン」(勝手に命名)があるのではないでしょうか。

 

動力はスチーム(たぶん)。コンセントをつないで、歯車を動かし、しゅこー、しゅこーっと「創造物」を作ります。あれ、戦場近くの研究所でつくって、その後城までもってかえってきたのでしょうかね。

 

こんなに巨大なんですよ・・。二階立て。運んだ人はさそや大変だったでしょう。

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ガシャポンの正しい使用法は。上層部ガラス張り部分に組み立てたい部品(人体)を入れます。一階部分に正しくホースをつないで、気合をいれて二階部分中央にあるバーを押し広げましょう。どっかーん。「被創造物」の出来上がり!

 

・・・はっきり言ってどうやって人間が出来上がっていくのかは全く不明。そこらへんは深く考えてはいけない感じがする。でもこの装置が、かっこいい。

 

一幕の終盤でアンリの首を手に入れ悲壮な覚悟で人体の再創造に向かったビクターは、「 위대한 생명 창조의 역사가 시작된다(偉大な生命創造の歴史が始まる)」を熱唱しつつ装置を可動させます。クライマックスでは「けーおーなーーーっ!」(めざめよ)といって、バーをがばりと押し広げる。立ち込めるスチーム。なる稲光。いやがおうでも盛り上がるシーンです。中のアンリ(すでに「怪物」?)も、びくんびくんっと動いております。

www.youtube.com

(2014年版イ・ゴミョンさんの画像ですが貼っておきます。「けーおーなーっ」をご確認ください)

 

この装置は、「人を作る」という現在でもなしえてないSFな設定を支えるものなのですが、最後にビクターが人力を加えることで可動しますし、動力はスチーム。その時立ち込める蒸気はその音と共に劇場を満たします。セットのイメージは、まさにレトロフューチャースチームパンク。科学とゴシックなものの融合を体現するこの装置こそが、ミュージカルを見ている人たちの時間感覚をうまく「現実の歴史」から遊離させてくれる気がします。

 

その後、ビクターと怪物が北極に行くというどこかおとぎ話のような展開があっても「え、北極?」みたいな感じは薄まり(ちょっとはするけど)、そこに「現実に起こったこと」というリアリティとは別の、リアリティを感じられるようになるのではないかと思うのです。つまりこのスチームパンクな「ガシャポン」が、この舞台上で展開する19世紀のヨーロッパを「歴史上にあった一時点」から、このお話における時間へと転換させるきっかけとして機能しているのではないか、と考えたい。

 

と、無意味に分析してみたくなるこのセットは非常に素敵なアイテムなのですが・・。

 

まさにクライマックス。ビクターが装置を稼働させたのち「おお、いまに素っ裸のアンリの入っているガラスの筒みたいなのが割れて「怪物」が出てくるにちがいない!わくわく」と二階部分に大注目しておりますと・・・。

 

意外や意外、下のドアから装置の中にある階段を上がって(たぶん)、ビクター自ら出来上がりを取りに行くではありませんか。おもわず、「ええっ、そこ手動ですか。人力ですか!」と驚かずにはおられませんでしたよ。自動で落ちてこないのか、人間ガシャポン

 

上の瓶みたいなとこ開くわけにはいかなかったんですかね。