韓国ミュージカル☆ライフ

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ミュージカル「ニュージーズ」予習編第二弾-ストライキをめぐる冒険

ミュージカル「ニュージーズ」は、新聞売りの少年たちが主人公。新聞文化が花開き、その影響を増し続けている社会における、持つ者と持たざる者の対立を描く物語でございます。韓国のミュージカル関連記事をみておりますと、「ニュージーズ」が扱うストライキに注目するものがちらほら。今回は、この「ストライキ」に注目しつつ「ニュージーズ」の見どころを考えてみたい。というか、もうそろそろ見に行こうかな。予習の情熱がよくわからない方向に向き始めております。

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 (4月の公演では舞台装置が途中で故障、本当に「世界がとまった」らしい。とめたのは彼らが来たからではないようで。ホント、安全第一ですね)

ストライキの行方

韓国社会はスト社会(?)。町をあるけば、お揃いのゼッケンのようなものをつけ、道端でお菓子を食べたりしながらすごす、一見「ピクニック?」とみまごう 集団を目にすることがございます。彼らは(穏健な)スト中。大きな会社のストだと、前方に舞台が作られて「何のイベント?」と見まごう豪華なショーが展開 してたりなんかする。そうした日常的スト風景が展開される社会であるからこそ、「ニュージーズ」においてストライキという主題も気になるのでございましょう。

そもそも本物のニュージーズたちが起こしたストライキは、1899年7月20から8月2日まで約二週間にわたって行われました。最終的に原価は値上げするが、売れ残った新聞の買戻しを行うことで妥結したのだそうです(Wiki参照)。かなり、現実的な妥協点なのではないか。映画の能天気さ(前記事参照)とはえらい違いです。このストの成功を保障したのは、Wiki情報によると、大人たちの中にもストを支持する人があらわれ、新聞の不買運動を展開したからのよう。社会を変えるのは子どもたちだけにあらず、その問題に解決に向け多くの世代の人々が参与してこそ、というまっとうな現実を示すエピソードでございましょう。

で面白かった記事が、たとえば『メディアスMedia Us』の2016年5月2日記事「ミュージカル『ニュージーズ』ニュースボーイたちはどのようにストに成功できたのか」。

記事はこちら

뮤지컬 ‘뉴시즈’, 뉴스보이들은 어떻게 파업에 성공할 수 있었나 - 미디어스

 この中で、子どもたちのストが成功した背景には「マスコミの力」があるという分析しが登場します。つまり、大手新聞という「マスコミ」の支配に対抗できるのは、やはり「マスコミの力」だというわけですね。特に、ジャック達がつくるビラを高く評価している模様。ビラが「マスコミ」なのかどうかは微妙なところだと思いはするのですが。そして、21世紀に生きる私たちも、このミュージカルを通じてマスコミの力を読み取るべきなのだそうな。民主化運動のころ、ビラをまいて運動を展開した当時を思いおこしながら書かれた記事なのでしょうか。

ともあれ、ここには韓国のネットニュース(大手新聞社とは違う立場から発言している人々)ならではの視点がにじみ出ているともおもわれ、大変興味深い。マスコミの力を読みとるというよりは、この劇評から、韓国マスコミにおける大手新聞社とネットメディアの群雄割拠な様子が読み取れるというものでございましょう。

ニュージーズの魅力は「集団」力

さて、ほかにもミュージカル「ニュージーズ」の劇評を流し見していると、スターマーケティングではないことを評価する記事が意外に多いという印象。この作品の出演者のほとんどはオーディションで選ばれたメンバー。テレビで活躍する俳優さんとしてはオン・ジュワンさんがいらっしゃいますが、彼も今回ミュージカルデビューな新人枠。このことが、チケットパワーあり俳優のキャスティングをせずとも、興業は成功するのかという関心を引いているようです。例えば、『オーマイスター』の「ディズニーの感性で武装したストライキ闘争の歌、ニュージーズ」(2016年5月1日記事)がそんなことを冒頭で書いてらっしゃいます。記事は以下。

디즈니 감성으로 무장한 파업투쟁가, <뉴시즈> - 오마이스타

「ニュージーズ」という作品自体、映画を見る限りではございますが、主役メンバーが歌い上げるのに聞きほれるというよりは、集団でのダンスシーン、合唱シーンが多数登場、見せ場を構成する傾向にあります。ストライキという労働争議の方法が集団の団結を必要とするように、このミュージカル自体も全体が調和してこその作品であるといえるでしょう。

集団の力を必要とするストライキを、描きだそうとするミュージカルが、スター至上主義じゃ後味わるいですものね。そうした意味で、この作品はただしく「集団」の魅力を描こうとしているのだと、期待しております。

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