ミュージカル「エリザベート」見てきたよ-それは「愛と死の輪舞(ロンド)」(宝塚・2016年・宙組版)

東京方面ではミュージカル「エリザベート」が千秋楽を迎えましたが、兵庫県宝塚市にある、宝塚大劇場では宙組エリザベート」が始まっております!というわけで、東宝版より早く、宝塚バージョンを見てまいりました。韓国ミュージカル・ライフ的に手を出してよい領域なのかは微妙なところなのですが、ヅカファンではない方にも、今回の「エリザベート」は見ておくべきですよー!と叫びたい。わたくしとてヅカファンと名乗るのはおこがましい単なる周辺住民(?)なんですが。しかし素人にもこのように叫ばせる力がある。つか、メンバー全員超絶おススメでどうしたらいいかわからない。ちなみにキャストはこちら(宝塚版ではトートが主人公)

トート 朝夏まなと

エリザベート 実咲凛音

フランツ・ヨーゼフ 真風涼帆

ルイジ・ルキーニ 愛月ひかる

ルドルフ 桜木みなと(トリプルキャスト)

誰か実は男性なんじゃないの?と思うくらい重層的で迫力あるアンサンブルで、1曲目からガツンときます!

トート閣下が黒髪に!

今回のトート閣下は銀髪をやめて黒髪!黒髪ロング。白皙の美貌と黒髪が、閣下をまさに人ならざるものにしておりました。この黒髪(正確には、紫など他の色も入っているらしいのですが)演出の背景には、これまでのトートと重ならないようなメッシュの色が尽きたから、というほほえましい(?)エピソードがあるらしいのですが(毎日新聞2016年7月25日記事http://mainichi.jp/articles/20160725/ddf/012/200/003000c )。いや、尽きてよかったのではなかろうか。黒髪正義。

宝塚版はトートが主人公。エリザベートを中心に据え、彼女の自由への渇望と死へ引き寄せられる闇を描くウイーン原作とは異なるのは、トートがなぜエリザベートに魅了されるのかという彼の内面を歌う「愛と死のロンド」が重要な曲として焦点化される点にあるように思います。そのため、ともすればトート(死)が、一人の男性としてエリザベートを愛するという、男女の恋愛物語として理解されてしまう可能性を秘めている(もちろん、その解釈でも十分に楽しめるつくり)。

しかし、黒髪トートの神々しさは、その次元を一つ引き上げるようなパワーがありました。性別を超越してしまってなおセクシーな朝夏まなとさんの閣下は、ハプスブルク家や当時を生きる人々を魅了し、誘い、死の雰囲気の中に引きずり込んでいく。と同時に、エリザベートの分身に見えたりもする。何度も彼女を助け、死に飲み込まれない生の力をトート閣下が感じ取ろうとする様子は、「恋愛」という言葉では語りきれない、エリザベートとトートの双方が際立出せる生と死の一体感と緊張感がありました。あまりにセクシーで魅力的な閣下だったので、宝塚以外でも、トートを男性俳優でキャスティングしなきゃいけない理由ってあるのかな?と思ったくらい。

気高く美しいエリザベートがここにも!

宝塚の娘役は、どちらかといえば可憐で控えめ、つねにトップを立てる役どころを担うイメージです。しかし、今回の「エリザベート」では、実咲凛音さんのエリザベートの存在感がハンバなかった。娘役独特の歌唱法よりは、一般ミュージカル的な発声で歌われる歌が多く、とてもパンチの利いた高音が大劇場に響き渡るさまは圧巻。そして、シシィスター(星の髪飾り)をつけて登場するシーンでは、可憐すぎて倒れるかと思った。まさに美貌は武器ですな。

年老いていく後半では、自分が求めている自由が一体何なのかわからなくなっていく悲しさや孤独、それでもフランツと和解できないかたくなさが、死としか愛をかわせない、そして死をもってしか「自分だけの自由」を手にできなかったエリザベートの姿を見せてくれます。とっても胸にせまる。

多分また見る

とはいえ、宝塚版ではルキーニの見せ所がトート閣下に譲渡されている部分があったりもして、それが残念といえば残念。愛月ひかるさんのルキーニが、いい具合にチャラチャラしているけどよく見たら超絶男前というものすごくおいしい出来なだけに、もっとみたいよー!活躍してくれよー!と、ないものねだりをしてしまうのでした。たぶん、また見に行くな・・。