読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

韓国創作ミュージカル「阿娘歌(アランガ)」まだ見てない人手を挙げて!-いまさらながら、いったほうがいいよという話

韓国創作ミュージカル「阿娘歌(アランガ)」今更ですが見てきました報告。今週末が千秋楽ですが、機会のある方にはぜひ見ていただきたい!呪われた太子と呼ばれた百済の王「蓋鹵王(ケロ王)」の限りなく切ない、愛を乞う物語。2016年4月10日まで、忠武アートホール中劇場ブラックで上演中です。ブラックは観客席が半円形なので、ぜひ真ん中の席をゲットしてください!でないと、「この席、ケロ王の尻率高い・・」という事態にもなりかねません。

f:id:pokos:20160408094916g:plain

作品に登場するキャラクターは、ケロ王、ドミ、アラン、ドリム、サハンそして、語り部としてパンソリを担当する道唱で、それぞれ2人づつの役者さんがキャスティングされています。私が見たのはこの並び。

ケロ王:カン・ピルソク

アラン:チェ・ジュリ

ドミ:イ・ユル

ドリム:キム・テハン

サハン:キム・ヒョンジン

導唱:パク・インヘ

f:id:pokos:20160408095103g:plain

 この作品の魅力は、何といっても韓国の伝統的民俗芸能であり、物語を独特のリズムで語り降ろす「パンソリ」パートとミュージカルらしいナンバーが見事に融合している点でしょう。パンソリの押し殺すような、時に激しく泣き叫ぶような声が、観客の心を揺さぶると、ガンガン攻めてくるミュージカルナンバーがその感情を盛り立てていくのです。この、マッチングがすごい。

おおよそ、こういう伝統音楽と西洋音楽の融合とか、どこかギクシャクしたり、どちらかに合わせることになってしまいそうな予感がするものですが。「阿娘歌」にかぎっては、相乗効果しかない!

www.youtube.com

(ショーケースでの「百済の太陽」映像。パンソリとミュージカルナンバーが交互に歌われます)

 

当初、パンソリ部分があると聞き、やや不安に思っていたも事実。かったるいのではなかろうか?ここで寝落ちするんではなかろうか?と。というのも、大昔、韓国語の授業の一環かなにかで「興夫歌(いわゆる、「フンブとノルブ」)」のパンソリを聞きに行く機会がありました。この話は、善良な弟フンブが強欲な兄ノルブに家を追い出されるも、助けたツバメの恩返しによって富をえるというもの。しかし、とりあえずノルブがどんだけがめつく金儲けし、豊かな暮らしをしているかを延々語る超前半部分で意識が遠のき、夢の国の住人となったのでした。目覚めたころには、あれ、そいやフンブって登場したっけ、ノルブ伝だったのかな、この話。と、思ったからね。もはやツバメが出てきたかどうかも確かではありません。

だがしかし!も、もうしわけございません!「阿娘歌」では寝落ちどころか。胸がしめつけられましたよ。この、パンソリの声がなければ、この作品は百済の出来事は、自分とは切り離された物語でしかなかったかもしれない。でも、パンソリの節が、まさに王にかけられた呪いや、百済の民の悲しみ切なさをこれでもか、と言い表すことで、その感情に「乗る」という経験ができたのです。お、おそるべし!なんで寝てしまったんだろう「興夫歌」。

 

また、この舞台では、パンソリにおいて重要なアイテムである扇も大活躍します。パンソリは基本1人劇なので、場面を変化させたり感情を強調したりするときに使用するアイテムなのですが。この作品で扇はキャラクターの「身体」を象徴するものでもある。キャラクターが亡くなると、扇を置き、魂となった俳優さんたちが話し、歌うのです。あるいは体が傷つくシーンでは、扇が傷つけられます。

ライティングだけで状況が示される、シンプルな舞台セット(そうめんのような白いヒモが天井からつりさげられているのみ)と、白を基調とする衣装、そして扇。ごくごくシンプルに組み立てられた舞台は、みている方の集中度をものすごく高めてくれます。みんなすごく爆音で歌っているのに、いつも静寂に包まれているような気さえするんですよ!

 

まだ楽日をむかえてないけど、いまから再演希望。

 

そ・し・てーー。扇の端からちらっと垣間見える顔パーツにぜひご注目いただきたい。隠されたうえで、ちらっとみえるパーツというのは、なぜもあんなに色っぽいのですかね!じたばたすること間違いなしです。