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大学路観劇前グルメ(その3)-ソウル3大パン屋「ナポレオン菓子店나폴레옹 과점」のパンを大学路で「Bakery Napoleon」

大学路グルメシリーズ第三弾。劇場周辺で、かつ旅行にきたからには食べておきたいグルメ(?)を紹介するこのコーナー。その店もう知ってるよ!というお店ばかりやもしれませんが。劇場に近い、という観点からはここをおすすめせねばなりますまい。ナポレオン菓子店大学路店でございます。

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(二階のイートインスペースがCoCo壱番屋になってしまった・・)

ドリームアートセンターや東崇アートセンターなどでの観劇計画がある場合、ここでパンを購入すると動線に無駄がありません。ちょっと時間があるときはイートイン。

韓国パンのDNA

さて、1968年創業のナポレオン菓子店나폴레옹 과점はソウル3大パン屋の1つとして名をとどろかせております。残りの二つは、江南のキムヨンモ菓子店、弘大のリッチモンド菓子店とされる(※最近弘大から城山洞に移動?)。時にナポレオン製菓店、ナポレオンパン屋などとよばれ、微妙にどれが正しいのかよくわからない・・なナポレオン菓子店。菓子店が正式らしい。製菓店だと思ってた。何となく。

キムヨンモ菓子店やリッチモンド菓子店の職人たちを育てたのは実はこのお店。そういう意味で、ソウルのパン屋は実はナポレオン帝国である、とさえいえるのです。というのも、かつてナポレオン製菓のオーナーは、店の職人たちのレベルを上げるため、フランスや日本に彼らをおしみなく(かどうかはわからないが)留学させたそうな。それは、韓国で留学それ自体が一般的でなかった1970年代から80年代のこと。パンのための留学など、さらに珍しいことだったのです。パティシエという言葉をかなり早いころから使用しはじめたが、当時の韓国の人々にはパティシエが何を意味するかとんとわからなかった、というエピソードがあるほどです。

しかも、ナポレオン製菓のオーナーは、自身がパン職人ではなかったこともあり、パンのレシピを職人たちに共有させた。一子相伝ではなく、そのノウハウを共有することを選んだパン屋。そのレシピは、いまや韓国の大手チェーンのパン屋のレシピにまで広がっているのであった。まさに韓国パンのDNAを作り上げたのが、ナポレオン菓子店なのでございます。昔は高いパン屋だ!とおもっておりましたが、ソウルの物価が爆上げされた昨今、むしろお手頃感すら感じるではございませんか。え、こんなに安かったっけ、とさえ思うお手頃感。

しかし、ですよ。レシピを共有しているにもかかわらず、店によって微妙に味が違う気がするこのお店。なぜレシピどおりつくらないのだ韓国のパン職人のたちよ!

いちばん間違いないのは本店なのですが、漢城大入口は恵化から微妙に遠い(といっても地下鉄で1駅の距離なんですが)。観劇ついで、となると心理的に遠いのです。そんな時ありがたいのが「大学路店」。一時期工事中だったため「ついになくなってしまうのか!」と恐れていたのですが、イートインスペース縮小という残念改革後、無事営業を再開してくれておりました。とりあえずよかった・・。とりあえず、そんなに劇的に味もちがわない(気がする)。

韓国ドラマ的な展開も

 さて、ここまでに紹介したナポレオン菓子店のヒストリーは、なんだか「(韓国版の)プロジェクトX」になりそうなストーリーでございました。しかしここは韓国。韓国ドラマ的展開もナポレオン菓子店には期待したい。そしてその期待にきちんと応えてくれるのがさすが「ソウル三大パン屋」の一つ(意味不明)。

かつて韓国が貧しかったころ。しかし成長を続ける経済に希望を抱く人々がたくさんいたあのころ。オーナーは職人を育て、ナポレオン菓子店を、そしてソウルのパン文化を育てた。やがて韓国の社会は成熟し、一人当たりGNPも先進国並みを達成した。オーナーは年老いた。そして・・・おこるのが「跡目相続争い(かどうかわからないが)」なのです!おおー。韓国ドラマの王道ですね。

1990年代半ばごろからナポレオン菓子店は相続人間での分家が進み、城北本店を中心とする勢力、狎鴎亭を中心とする勢力、蚕室を中心とする勢力へと分断されていきます。それぞれの勢力は異なるレシピを保有するものとみられ、同じナポレオン菓子店をなのっていても、ことなるパンが製造されている。しかも勢力を超えてポイント交換はできない冷戦体制。それを韓国のパン好きが図にしたのが以下(すごいな・・)。

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(ナムWiki나폴레옹과자점より引用)

 それぞれの勢力下で得意とするレシピが異なるので、自分がもっとも愛するケーキやパンがどの勢力によって持ち去られたのかを確かめるべきなのだそうじゃ。というわけで、大学路のナポレオン菓子店を第一歩として、広大なナポレオン帝国レシピ探しの旅に出てみるのも、また韓国グルメの楽しみ方の一つなのかもしれない。

ちなみに、大学路店ではカットケーキを頼むと飲み物が2000ウオン安くなります。アメリカンが4000ウオンなので、セットがお得!

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行き方

地下鉄4号線恵化(ヘファ)駅、1番出口を出て右にまがり、道なりに「ドリームアートセンター」を目指して進むと、左側にあります。

大学路観劇前グルメ(その2)-大学路でホットクと言えばここ!甘辛ニ方向から攻めていきますよ。

ミュージカル「スリル・ミー」がベガムアートにて上演中の現在。三成洞と大学路を移動しつつマチネ・ソワレを楽しまれる方も少なくはないと思われます。晩御飯は公演がはねたあとでゆっくり食べたい。でも観劇中のシリアスなシーンでぐうぐう腹がなったらどうしよう(なったことがあったらより一層トラウマ)・・!そんな不安を鎮めるのにぴったりなのが、韓国屋台おやつの王道ホットック。シナモン風味の黒蜜入りが王道ですが、いまやナッツ入り、抹茶味、チーズ入りなど挟むもの乱世の様相を呈しております。そんなホットク戦国武将地図において大学路周辺を統べるのがこちら「ホットック堂호떡당」!

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(屋台ではなく店舗なんですが)

ここのホットクは甘いものだけではなく、野菜入りだのトッカルビ(ハンバーグのようなもの)入りだのという御惣菜系の具がセレクトできるのが魅力。また、焼き中心パリパリ系ホットクとはことなり、ほぼ揚げ物カリカリ系の系譜に位置付けられるこのお店。腹持ちのよさは太鼓判です。

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(妊産婦と二等兵は無料らしい)

クル・ホットク(通常の密入り)1000ウオン

野菜・ホットク1500ウオン

トッカルビ・ホットク2000ウオン

ホットドック

お手製ホットドッグ1500ウオン

お手製チーズホットドッグ2000ウオン

アイスクリーム類もありまして

アイスクリームホットク2000ウオン

ソフトアイスクリーム1000ウオン

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(かじる場所によっては春雨しか見えない「野菜」味なのであった)

御惣菜系の具を選ぶと、「揚げパン」とみまごう分厚いホットクを手渡されます。皮はカリッとしつつももちもちで中の塩っぽい具との相性もバッチリ。腹の虫もしばらくはだまってくれる満足感なのです。

お店のおやすみは大学路らしく月曜日(周辺の劇場がお休みですからね)。営業は12時から24時と、まさに演劇時間にあわせてくれている。大学路芸術劇場のすぐそばのおみせ。差し入れに大量購入している人も見かけます。

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4号線ヘファ駅2番出口をでて逆方向にあるき、一つ目の角を右へ。二つ目の角を左に曲がったところ(大学路芸術劇場の手前の道)左手にお店が見えます。

ミュージカル「ビースティ」(2017年版)みてきたよ(1)-韓国のホストクラブに擬似潜入体験?

ミュージカル「ビースティ」(2017年版)見てまいりました。2017年2月24日から、5月7日まで、大学路のデミョン文化工場1館にて上演中。100分一幕もの、13歳以上観覧可。このレーティングの基準がたまに不思議になる今日この頃。「ザ・デビル」が16歳なのに、なぜこちらは13歳なのか。ほんとにそれでいいのか。ともあれ見て来たキャストはこちら!

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マダム(イ・ジェヒョン):チョン・ドンファ

エース(キム・ジュノ):ジョン・ミン

ホスト(アレックス):ペ・スンギル

ホスト(カン・ミニョク):ソン・ユテク

ホスト(イ・スンウ):キム・デヒョン

映画とは違うストーリー(ネタバレ成分高めです!)

ユン・ゲサン主演の韓国映画に「ビースティー・ボーイズ」というのがございます。清潭洞(チョンダムドンのホストクラブを舞台にした物語。ん、これのミュージカル版かな?と一瞬おもうのですが。実際、ミュージカル「ビースティ」は2014年の初演時には「ビースティー・ボーイズ」と名付けられており、より映画原作感が強かった。とはいえ、映画のタイトルとホストクラブの物語という要素をふまえているだけで、お話それ自体は異なります。2016年の再演(トライアウト)では、タイトルも「ビースティ」に変更され、より独自性を高めての2017年版。ホストクラブのバックヤード、密室的空間でおこる、5人の男たちの緊張感あふれるやり取りが魅力のミュージカルです。

物語は、と言いますと。舞台はオーナーホスト(韓国ではこれをマダムと呼ぶのでしょうか。ホストたちは彼をマダムと呼びます)イ・ジェヒョンが経営するクラブ・ギャツビー。そこで働くのは、初恋の女性を探しもとめ純愛に生きる男、エースことキム・ジュノ。病気の娘の手術費用を稼ごうとするアレックス。俳優になる夢のために一時的にホストに身をやつすミニョク。そこに父の借金を背負ってホストになることを選んだスンウがやってくる。

ジュノが探し求める女性は、実はマダムの妻。娘のため、夢のため、父の借金を返して元の生活に戻るためにホストたちが求めるのは金。クラブ・ギャツビーに集う彼らが欲するもの、それをすべて握っているのはマダムことジェヒョンなのです。それがわかっていて、彼らを絶対的な力で支配するマダム。その支配から抜け出せないホストたち。

マダムは彼らがホストをやめないようにスンウにジュノを監視させ、ミニョクをそそのかしてアレックスの夢をくじくなど、ホストたちの欲望、あるいは弱みに付け込んで彼らが変化しないように、ここにみんなでいることを選ぶように仕向けるのです。

しかし―――。ぎりぎりまで追い詰められたホストたちは、ついにマダムに対する狂気の中、お互いを傷つけあうことになるのでした――。破滅を迎える、クラブ・ギャツビー。ではなぜ、そもそも彼らはマダムの恐怖と暴力による支配を許容することになったのか。最後のシーンで、愛情と暴力の恐ろしくも悲しい両面性が指摘されるのですが。この最後のシーン。涙鼻水駄々漏れですよ!

 

さて、このストーリーをどんな関係性として描いていくのか。韓国ミュージカルらしい、妄想可能性マックスなストーリー解釈については、続きにて!