衝撃!YES24で公演チケットは予約不可能に?ー本人認証の徹底という方針転換へ

韓国ミュージカル公演を予約する手段として、海外居住外国人であれば、インターパークグローバルを利用する、ソウル市の観光サイトVISIT・SEOULを利用する。そして、YES24の韓国語サイトを利用するという方法がございます。いや、ございました・・。

YES24は、インターパークグローバルとは異なり、再観覧割引や職業人割引、学生割引等さまざまな恩恵を韓国居住者同様に受けることができ、エンジェルチケットにあたれば半額で観劇できることさえある。お試しにこの演劇をみてみよう、そんな気楽な観劇体験を提供してくれる、沼の住人にはとてもありがたいサイトでした。が!が!が!しかし!

YES24に登録されている皆さまのもとには、YESさんからの無情なお知らせがすでにとどいているやもしれません。そう、「本人認証強化案内본인인증 서비스 강화 안내」です。韓国のサイトでこれみたら、危険フラグ。住民登録番号や外国人登録番号をお持ちの方は問題ないのですが、海外居住外国人という、韓国政府的にとって把握不可能なものどもへのハードルを一気に挙げるのが「認証」システムなのでございます。ついにYESにも完全導入されることになったというではありませんか!

YESからのお知らせとは

YES24サイトの掲示板にも、同様のお知らせがあがっております。以下のとおり。

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情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律第28条(個人情報保護措置)により、安全な取引と個人情報保護のため、YES24の公演サービス内容は以下のとおり変更されます。

■サービス適用日

2018年4月10日午前9時

■サービス変更事項

簡便加入IDサービス利用の制限

予約サービス 変更前〇→変更後✖

掲示板利用、イベント参与、そのほか〇

■その他事項

書類認証は認証されません。予約サービス利用のためには、かならず携帯電話またはI-PIN認証を行わなければなりません。

法人会員、提携会員は既存のサービスを受けられます。

→本人認証 する

→本人認証Q&A確認

サービス利用に間違いがございませんよう、お客様の大切な個人情報を保護し、より安全にサービスを提供するため、ご協力とご理解をお願いいたします。

疑問がおありの場合、電話または1対1相談をご利用ください。

ありがとうございます

しつこく1対1相談もしてみた

お知らせを読んだだけでは、書類認証の中身がよくわからなかったので、質問メールを送ってみました。最初の返信では「パスポートの写し」を1対1相談にアップロードして承認してもらってほしい、というようなニュアンスの返事がきたので、やった!とおどりあがって、1対1に確認メールをしてみました。YESさんのお返事は・・・

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「パスポートによる本人確認は公演予約不可能」が結論です!

「(これまで)すべての公演が本人認証後予約可能ということではありませんでしたが」と言う前置きで「(もろもろあるから)本人認証後に予約可能という風に変更されました」という非情なお返事がかえってきたのでございます。本人確認の強化の背景には、不法取引の増加などがあると書かれておりますが、せめて大学路ミュージカルなど、小規模なものだけでもなんとかしておいてほしかった・・と思わずにはいられません。

今後、再観覧割引などをうけるためには、「インターパークに電話する(韓国語)」という、多くの人にとって最もハードルの高い道(国際電話だし)を選ばねばならなくなりそうです・・。もう、12時のタイミングをみはからって、ブドウ摘みに出かけることはなくなるのか・・遠い目。

ああ、「ラマンチャ」なんで10日までに予約しなかったのだろうか!とても後悔中!こんなお返事だったけど、ぽろっと予約できたりしないんですかね・・。

 

追記)YES24グローバルサイトからいくつかの公演予約ができるようになったみたいです。ただし、韓国語サイトのID(や等級、クーポン)を引き継ぐことは不可能だそうで(1対1相談の回答による)、あらたにグローバルサイトIDを作成する必要があります。

ミュージカル「レッド・ブック」(2017年・試演)感想(2)-女の子の「想像力の自由」に捧ぐ、素敵ミュージカル

ミュージカル「レッドブック」が2018年2月6日から3月30日まで世宗会館Mシアターにて上演中。前回1幕あらすじからかなり期間があいてしまい、すでに見に行かれた方もいらっしゃるやもしれません。ややこしいですが、この感想まじりのあらすじ後編は、2018年版ではなく2017年版の試演時の内容をもとにしております。ご注意ください。

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(このレッドブックではありません)

さて、二幕は現在韓国で吹き荒れるMeToo運動を予見したかのようなセクハラ問題と女性同士の連帯、創作の力、そしてそれを皆が理解していくユートピアを描く展開。今旬の内容!となっております。まさかこんなことになるとは、制作者たちも思ってもみなかったでしょう。さーて、どんなお話かと申しますと。

あらすじ(ネタバレ)第二幕

 有名な評論家のジョンスンがアンナの作品を評価してくれ、かつ話をしたいと言ってきた。よろこびいさんで会いに行くアンナ。しかしジョンスンはアンナがみだらな物語を書いているくらいなのだからいいだろう、と性的な行為を迫ってくるではありませんか。アンナは怒り心頭、私に欲望があることと、あなたの欲望の対象になってあげることは違うんだよ、とばかりにジョンスンの急所を一撃して逃げ出します。しかしそれを逆恨みしたジョンスンは、自らの権力を用い、市長などにレッドブックの出版差し止めを訴えるのでした。わー、セクハラおやじあるあるな展開です。

ここでローレライの主宰する会の説明が挿入されます。なぜそもそもローレライが女装しているのか、この会に集まっている女性たちはなぜ創作に駆り立てられているのか、とういうエピソード。この部分がなかなかジンとくる。現在二次創作などに励む(韓国の)(主に)女子が直面しているような何か。そしてそれを乗り越えていける、創作がもつ力が語られています。メンバーたちが、女性であることによって、また時代的な抑圧によって抱え込まされたものに押しつぶされないように。自分が自分であるために表現を選ぶのだ、という切実さに胸が熱くなること請け合いなのです。

さてさて、ローレライは女装の男性ですが、女装の趣味があるというよりは、かつて恋多きセクシーで美しい女性に恋をしたのをきっかけに、そんな女性が自由に生きられる世界を夢見て会をつくり、自らがその女性のように扮装することで自らの願いを表現しているという設定(なんじゃそら)。そして会のメンバーは、オースティンの『高慢と偏見』の続き読みたさのあまり、自ら創作を決意したもの(!)、夫の若い女との浮気に悩まされ続けた結果、夫を殺す小説を書く女、初恋の純粋さ・・ではなく燃え上がった欲望の渦を鎮めるために小説にエネルギーをぶつけるもの、そして、離婚され子どもを奪われるなか、小説に生きる希望を求めるドロシーなど、さまざま。抑圧された女性の欲望を解き放つこと。自らの欲望に忠実になること。それがこの会の存在意義であり、目的なのである!・・というわけです。

そんなローレライの会に、アンナを探してブラウンがやってきます。しかも、なぜか女装して。というのも、ローレライの会は女性のための会だから・・。そこで、自分の恋心を語ることになってしまうブラウン。アンナを理解できない、でも一緒にいたいのだ、と。そんなブラウンを、アンナもうけいれるのでした。ブラウンは自分がこだわっていた「男性」としてのふるまいやプライドを捨て、理解不可能な存在としてのアンナを尊重しつつ受け入れ、また受け入れられようとします。ちょっと理想的すぎるかもしれませんが、なかなかこのあたりの関係もステキです。

さて、セクハラ事件後の展開。レッドブックは出版法に抵触するーそんないちゃもんをつけられ、アンナとローレライの会のメンバーは捕まってしまいます。ブラウンはアンナ助けたさに、かつて心を病んでいた女性画家がその病を理由に釈放された事例があるので、アンナにも創作は病による気の迷いだったと証言するよう勧めます。ローレライの会のメンバーは、仕方なくその提案を飲むのですが、アンナは自分の創作物を貶める発言はできないと、それを拒むのでした。ブラウンは自分と一緒にいられなくなってもいいのかとアンナに迫ります。

葛藤するアンナ。そんな時、牢獄で貧しい少女と再び出会います(1幕の最初のシーンで投獄されていた時に出会った少女ふたたび)。少女はアンナの小説を読むために字を学んだと言うではないですか。ハッピーエンドの物語に希望をつなぐ少女を見て、アンナは心を決めるのでした。

ブラウンを訪ねて庭師のヘンリーがやってきます。ブラウンの祖母バイオレットとの思い出に理解を示してくれるようになった彼に満足しつつ、ブラウンがいまアンナにできることは何か、をアドバイスします。アンナを変えようと思うな。アンナの選択を見守り、それを肯定すること、それこそが大切なのだと。ーーーなかなかそんなことできる男性はいないですよ!

いよいよ、レッドブックをめぐる裁判が開かれることに。裁判の日。アンナは自らの意思で小説を書いたと言い切ります。罪に問われたとしても、自らの創作物をけがすことはできない。それがアンナの下した結論でした。――有罪が確定するかに見えたその時。ブラウンは、読者からの感想を証拠の品として提出します。それは、警察官や検察官の妻や恋人(にしたい人)、判事の母の言葉をふくむ、読者たちの声。アンナの物語によって、かつての恋心を思い出し、輝きはじめた女性たちの言葉だったのです。この声に後押されて、レッドブックは社会的悪影響を与えるとは必ずしも言えないと判断されました。アンナは無罪に。

アンナは自分の選択を後押ししてくれたブラウンとの間に強固な信頼関係が築かれたこと、彼の愛情を感じられたことを喜ぶとともに、表現することの喜びを歌い上げるのでありました・・。大団円で、幕。

 

記憶おぼろげなところを、公演後になぐりがいたメモを解読しつつの解説でありますので、前後しているところ、抜けてるところなどがあるかもしれません。すこしでも観劇の参考にしていただければと思います。

試演時には、舞台セットや衣装も簡素だったのですが、にもかかわらずその脚本の新鮮さやキャストのはまり具合に、会場(ほとんど女子!)が異常に盛り上がった記憶があります。かなりのおススメ作品です!

ミュージカル「レッド・ブック」(2017年・試演)感想(1)-女の子の「想像力の自由」に捧ぐ、素敵ミュージカル

ミュージカル「レッドブック」が2018年2月6日から3月30日まで世宗会館Mシアターにて上演予定。韓国のミュージカル専門雑誌「The Musical」誌上で行われた2018年期待作として、あの「フランケンシュタイン」(再演)を抜いて、創作ミュージカル部門1位に選ばれた本作品。2016年の公演芸術創作産出室優秀賞を受賞し、2017年に行われたテストプレイが大変な好評を得ての「初演」とあいなりました。「女神さまが見ている」のハン・ジョンソク、イ・ソンヨンペアによる4年ぶりの創作ミュージカル。いまさらながら2017年1月に上演された試演(2017年1月10日から22日、大学路芸術劇場)の感想などを書きなぐっておこうかと。

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アンナ:ユリア

ブラウン:パク・ウンソク

ローレライ:チ・ヒョンジュン

ドロシー/バイオレット:キム・クッキ

セクシュアリティと創作をめぐる物語

舞台は19世紀ビクトリア時代の英国。女性の権利が制限されていた時代。しかしそこで展開する物語は「女の子の、女の子による、女の子のための性的な妄想を通じた創作の自由」を礼賛するものなのでございます。現代の「過度に熟した」趣味の方々と何か通じるものがある主人公(とその仲間)。そしてまた現在韓国で盛り上がるフェミニズムの波にもシンクロするものがある。とはいえ、韓国エンターテインメント界の力量はさすが。趣味や政治的信条に肩入れしつつも取り込まれず、最後は「創作万歳!」みたいな(ちょっとあれれな)勢いにのせて、すべての表現者や創作を志すものへの賛美みたいになっちゃう開かれ感。女の子たちの創作の楽しみにせまりつつも、それが(男女を問わず)素敵なモノとして広く理解されるような共同体の生成を描いていきます。最後の大団円はちょっとハッピーエンディングすぎると思われる向きもございましょう。ブラウンが女子に都合よすぎるよね、とちょっと斜にみてしまう部分も確かにある。しかし、ここまで女の子たちのつながり、その可能性を描いた作品はとても珍しいのではなかろうか、と思うのです。でも、こういうの見てみたかったよね、とも思えてくる。新鮮な視点にあふれ、かつみんなが楽しめる作品。ワカモノ女子が観客のほとんどを占める大学路発のミュージカルとして、一つの到達点をみた!と思わされました。

長文のあらすじ(ネタバレ)ー1幕

主人公アンナは求職中。しかし未婚の女性ということでなかなか職につけない。パン屋に面接にいくもセクハラされて反抗、逆に警察送りとなってしまう。だが、牢屋にいれられても、アンナはくじけない。彼女には自分で自分を楽しませる術をもっているのだ。「悲しくなるたび、エッチな妄想をすればいいのよ」。そう、アンナは自らの性体験を反芻(?)し、それを心の糧に生きているのでございます(大胆な設定)。そもそも彼女が求職中なのは、妄想のネタになっている初恋の人との思い出を婚約者に話してしまい破断になってしまったためらしい。なんで話すかなよけいなことを。

そんなキャラが立ちまくったアンナを探す紳士、ブラウンがおりました。彼はアンナがかつて下女として仕えた老婆バイオレットの孫で弁護士、のんきなおぼっちゃんだが女性差別的な考え方(当時としては普通)をもつ存在、という設定です。バイオレットはアンナに遺産を残したいと言っているのですが、未婚の女性は財産を受け取れない。結局毎月ブラウンからの支援金ということでそれを受け取ることになり、ブラウンとアンナの間には縁ができてしまうのでした。この縁を逆手に(?)、アンナは職を得ようと、ブラウンにタイピストとして自分を雇うよう提案します。それをうっとおしくおもったブラウンは、アンナに夢をおって作家になるように促すのでした。

創作をめざすことにしたアンナ。ブラウンに連れられて行った書店で、女装の男性編集者ローレライと、女たちが自らの実の上を書き綴った小説集に出会います。ローレライはアンナの創作力(?)に感動し、小説を書くことをすすめるのでした。実は、財産を譲りたいと申し出てくれたバイオレットにも、アンナは性的な妄想に基づく物語を語っていました。アンナの話てくれる「エッチな」物語に元気づけられたバイオレットは、庭師ヘンリーと恋に落ち、幸せに暮らしました。しかしこのエピソードを聞かされたブラウンは、祖父への操を守ったはずの祖母を侮辱した、としてアンナを追い出します。しかし、アンナと過ごすうちに恋愛とは変化するもの、とうアンナの「思想」に影響されていたことにも気づくのでした。

アンナは仲間たちとともに女性が表現する場を模索しはじめます。小説を掲載した本を直売りする中で、その物語が人気を得ていくアンナ。有名な評論家さえもアンナの作品を評価しはじめます。しかし、(素直になれない)ブラウンはアンナの作品を否定。しかしアンナは自己表現を侮辱されることで逆に開き直り「淫らな作品を書くこと」それ自体を強く肯定するのでした。で、1幕終わり。

(つづく!)