ミュージカル「グーテンベルク」(韓国キャスト、2016‐7年)見て来たよ-1人20役、二人劇だけど大劇場公演をみたような

ミュージカル「グーテンベルク」韓国キャスト版見てまいりました。韓国語では「구텐 버그」と表記され「グーテンバーグ」と発音されますが。これは活版印刷技術の発明者として世界史教科書にも出てくるヨハネス・グーテンベルクを示しておりますので、日本語的には「グーテンベルク」と理解しておきましょう。2016年11月13日~2017年1月22日まで忠武アートホール・中劇場BLACKにて上演中。現在大劇場では「モンテクリスト」がかかっておりますので、マチネ・ソワレで連続観劇はいかがでしょうか?

2人で演じ、演奏はピアノというシンプルさですが、スリルミーなどとは異なり2人で20役(以上?)をこなし、演奏者もピアノ片手に(?)いろんな楽器を打ち鳴らします。アンソニー・キングとスコット・ブライアンのオリジナルを韓国風に色づけした本作品。見て来たキャストはこちら!

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 バド=キム・シニ

ドグ=チョン・ムンソン

ピアニスト(ライアン)=ウォン・ヨハン※演奏

2人で演じる「大劇場演目」

さて本作品、作曲家バドと脚本家ドグ(作詞は二人でと劇中でくりかえされる)が、二人で作ったミュージカル「グーテンベルク」をブロードウェイで上演するために、二人でリーディング公演してみせるという設定。バドとドグの挨拶や解説をはさみながら、彼らがつくったミュージカル「グーテンベルク」が、彼らによって演じられます。ただし「グーテンベルク」は大劇場で上演される予定のミュージカル。ライバルは「レ・ミゼラブル」や「キャッツ」な大作の2幕もので、メインキャストも多く、アンサンブルだって出てくる。彼らはその作品の魅力をあますことなく表現すべく、「役名を書いた帽子」をかぶりわけ、すべての登場人物になりきって公演内容を観客に披露していくのです。時にアンサンブルは一続きになった紙人形に担われたりもして・・。

楽曲は「大劇場向け」な歌い上げあり、3人以上でそれぞれの心情を歌うパートあり、大人数でのコーラスあり(子役含む)な設定。だからこそ、バドとドグは「ジキル&ハイド」の1人2人格歌い分けソング「Confrontation」も真っ青な、3人歌い分け(しかも男女混合)だって、それ以上のコーラス歌い分けだってこなさなければならないのです。

俳優さんたちに半端ない歌唱力と演技力、そして体力が必要を要求するこのミュージカル。ミュージカルを愛するドグとパド、それを演じる二人の俳優さんパッションが、ミュージカルを愛する客席の人々と共振する素敵な作品です。

秀逸な掛け合い漫才で学ぶミュージカル豆知識

さてこの物語、俳優さんは基本はパドとドグという作曲家と脚本家という役になって、ミュージカル「グーテンベルク」を解説します。彼らの語りの過程に、劇中劇として帽子をかぶりつつ役を変えてパドとドグに演じられるミュージカル「グーテンベルク」が登場する。そのため、「グーテンベルク」の1場が終了すると、パドとドグが再びそのシーンの意図を説明したりしてくれるのです。ミュージカルの演出や物語づくりのコツの説明もあったりして。1幕でヒロイン(ヘルベティカ)が主人公への恋心を歌い上げるシーンのあとには「これはアイウォントソングと言われるもので・・」とか、2幕の子どもとおじいさんが夢を見るシーンに対しては「このシーンは暗示です、これから起こる内容を予感させるのです(とかなんとか)」などなど。ミュージカルにおける技法まで教えてくれるのです。べ、勉強になるなあ。

そして、この二人の解説は、緊張しつつプレゼンする二人によって担われているという設定でもあるため、彼らの緊張や、感極まったタイミングによって奇妙な間が訪れることがあるのですが。そのタイミングを埋めるのが、「ミュージカル・グーテンバーグ!」という掛け声。このお笑い芸人の一発ネタのような、あるいはテレビアニメのアイキャッチのような「フリ」が、その場をリセットし、2人でつないでいく物語にメリハリをつけていく。見終わったあとは、とっても長い(2時間の!)漫才を見たような気分にもなるのです。

とっても濃ゆい二人で演じる大劇場ミュージカル。それぞれの俳優さんの直近の出演作小ネタなども挟まれた(ヘドウィグのベアーグミネタやゴレゴレネタなど)、ミュージカル好きよる、ミュージカル好きのための濃ゆーい、作品でございました。