ミュージカル「ファントム」(2016‐7年版・韓国キャスト)鑑賞記-歌の表現力に心震える体験!

ミュージカル「ファントム」の韓国キャスト版が、2016年11月26日~2017年2月26日まで、ブルースクエアにて上演中でございます。ファントム役を務めますトリプルキャストは、パク・ヒョシン、パク・ウンテ、チョン・ドンソク。ほかのキャストもゴージャスで、もう、だれにあたっても後悔はなし、の超絶歌唱力な凄腕(?)メンバー。これまたチケットはインターパーク単独販売。キラーナンバーより、すべての曲のクオリティで勝負するこの作品。歌唱力自慢の韓国キャストで見ると耳福、至福の観劇体験となること間違いなし!

で、私が今回見て来たのはこちら。

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(いつものことながら、み、みにくい・・・)

ファントム(エリック)=チョン・ドンソク

クリスティーヌ=キム・ソヒョン

キャリエール=イ・ヒジョン

カルロッタ=チョン・ヨンジュ

バレエダンサーは

ファン・ヘミン/ユン・ジョンイル

チョン・ドンソク/キム・ソヒョンペアのクラシック対決

さて今回のファントムとクリスティーヌ、配役されますチョン・ドンソク王子は韓国芸術総合学校(音楽院声楽科)、キム・ソヒョン様はソウル大の声楽科卒というクラシック畑でとれた人々。「You Are Music 」で「どれみふぁそーふぁれーふぁみー・・・(略)、歌ってみて」というようにファントムがクリスティーヌに歌唱指導(?)するシーンでは、「ど、どんだけ本気なんですか!」と音大の練習室をのぞいたような気分になること間違いなし。

そしてそのハーモニーからは、二人が自ら作り出した美しい音楽と、音楽への愛を共感しつつ分かち合っていく様子がうかがえます。音楽を通じて心を深く通わせる様子が、圧倒的歌唱力で迫ってくる。そりゃあ音楽好き同士、これだけお互い歌えたら惚れるだろう、と実感させられる。だからこそクリスティーヌが「ファントムの顔を見ても平気!私は彼の内面をしっているもの」と無謀な気分になってしまった挙句、とても残酷な行動に出てしまうというくだり(脚本的には、おいおいそれはないだろう、とツッコまずにいられない展開)にも、なんだか納得がいってしまう。ファントムとともに歌った時間。圧倒的な音楽の美を体感しちゃった体験が半端なかったからこそ、ファントムの「すべて」を理解したような気分になったんだね、しかし視覚と聴覚は別腹だったのね・・と。

バレエダンスの説得力

さて韓国版「ファントム」の見どころの一つとして、バレエダンスシーンの挿入というのがございます。ファントム(エリック)の生い立ち、出生の秘密がキャリエールの独白という形で説明されるシーン。これがバレエで表現されていきます。若き日のキャリエールとエリックママの恋と破局が、バレエダンサーの美しき筋肉(が、すっごくキレイ)で語られる。奇妙な説得力を伴う身体による表現は、キャリエールの「え、それひどくない?」というエリックママやエリックへの仕打ちをうやむやにしてしまうほど。途中キャリエールが「エリックママと結婚できない理由」を語る下りでは、美しいバレエの動きに心うばわれていた観客が、一瞬「え?マジそれ、ひどくない?」と現実に引き戻されそうになった。そんな観客の心を再度強引に舞台へと引き寄せ、何事もなく進んでいく物語。悲劇を歌い上げる身体が「え?マジ?」な気分をうやむやに。そしてなんだか気づかない間に、キャリエールの突如芽生えた父性に涙できる次元に送り込まれてしまっている。ゆ、油断ならない。そして、なんだかもやもやしつつも、最後のシーンでは涙がとまらないのでございます。・・・説得されてしまった。

というわけで、ツッコミどころいっぱいの脚本なのに、キラーナンバーがない楽曲なのに、なぜか最後は涙ぽろぽろ感動の大満足におわる不思議なミュージカル「ファントム」。歌えるメンバーだからこそ、その声のキメに、歌の表現にすべてが込められ、舞台からあふれ出す作品。そしてそれが圧倒的だからこそ、作品の欠点が全部乗り越えられてしまうミュージカル。ぜひ見に行ってみてください!

感想はもうちょっと続くと思います。