ミュージカル「マタ・ハリ MATA HARI」の予習にマンガ「暁の目の娘」を読む。
EMKの創作ミュージカル「マタ・ハリ」。第一次世界大戦期を背景に、彼女をスパイにスカウトしたラドゥ大佐と、彼女の愛した飛行機乗りアルマンとの三角関係に翻弄されつつフランスとドイツのドンパチの結果、二重スパイ容疑をかけられ処刑されるまでの一人の女性の物語。というようなおおよそのあらすじ以外、どんなストーリーなのか現時点ではわかりません。キニナルネー。
とうことで、物語を予想(妄想?)するため、そもそもスパイとして処刑されたマタ・ハリとはどんな人物だったのか。そして、彼女をめぐってこれまでどんな物語が書かれてきたのかを「予習」していきたいと思います。
ということで、今回取り上げたのがこれ。
いきなりニッチにマンガ。しかも正確に言うとマタ・ハリの娘の話です。いきなりこれって「予習」なのか、という疑問がわくセレクトですが。単行本は1976年マーガレットコミックス(集英社)として発行。現在は各種電子書籍で読めるようになっています。
さて、このお話はマタ・ハリが処刑されるシーンからはじまります。彼女に向けられた12の銃口。処刑場のやじ馬たちの中には、それを見守るマタ・ハリと同じ黒髪の少女がおりました。彼女こそ、マタ・ハリがオランダ軍大尉の妻としてインドネシアに滞在中(これは事実みたい)、彼女と愛をかわしたサルタンとの間に生まれた娘だったのです(これはマンガ設定)。このマタ・ハリの娘バンダ(平和という意味らしい)は、母にスパイ容疑を着せ、殺したフランスを憎み、その処刑にかかわった12人の軍人とそれを取り仕切った指揮官に復讐を誓うのですが・・。
ネタバレになるのでこれ以上はやめておきますが、どこか社会派なマンガをかかれる市川ジュンさんの作品らしく、また作品が発表されたのが1970年代ということもあってか、ヒロインが「戦争」や「平和」において敵とは何か?みたいなことを考える部分があります。戦争の傷跡は、戦勝国であるはずのフランスにも深く刻まれているのをみて、パンダは誰に復讐すべきなのかを迷うのです。昭和な香りがするとともに、愛がすべてを超ええない世界が、きっちりと描かれています。
・・とはいえ。ミュージカル「マタ・ハリ」には関係ないわな。
しかしこのマンガの見どころの一つは冒頭のインドネシア語で「暁の目」を意味するマタ・ハリが処刑されるシーンでしょう。スパイとのそしりをうけ、なげつけられる石をものともしない毅然とした態度。目隠しを拒否し、銃口をみすえて処刑に臨むその姿は、作中人物ならずとも「100年前にギロチン台に上ったマリ・アントワネットをみるようじゃないか!」とつぶやかずにはおられません。
多分この処刑シーンは目玉になる!きっとなる!
ミュージカル「フランケンシュタイン」にも、アンリが信念をもって断頭台に消えるという、あの名シーンがありますが。はたして「マタ・ハリ」は、彼女の最後をどのように描くのでしょう。印象深い名シーンになるといいなあ。
つか、処刑シーンなかったらどうしよう。あるよね。