韓国ミュージカル☆ライフ

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映画「スイングキッズ(스윙키즈)」(2018、韓国)見て来たよーミュージカル「ロギズ」とは別腹で!

韓国で2018年12月19日封切られた、EXOのディオ(ドギョンス)主演の映画「スイングキッズ」を見てまいりました。丸坊主のディオが、タップダンスで踊り狂う本作品。圧巻のダンスシーン、胸が熱くなるロギスのダンスへの想い、しかし時代は無残に彼らを悲劇へと導く。ああ無情。タップダンスの躍動感と急転直下のあのラストは・・・!是非みてください。日本でもいずれ公開されると思われる。

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1952年、写真家のワーナー・ビショフ(Werner Bischof)は朝鮮戦争下に設置された巨済島捕虜収容所の風景を撮影しておりまして。その中の1枚に、覆面をかぶり自由の女神像の前で踊る捕虜の姿がございます。この写真に霊感をえて創作されたのが、韓国の創作ミュージカル「ロギス」。

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映画「スイングキッズ」はミュージカル「ロギス」の映画版――と聞いていたのですが。タップダンスを踊る。ロギスは北出身。お兄さん大好きな仲良し兄弟。ダンスを一緒に踊る女の子との恋・・と言う要素はあるにせよ、全然オリジナルだよ!というストーリーになっておりました。

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ダンス!ダンス!タップダンス!

さて、主人公ロギスは朝鮮人民軍の捕虜ですが、「人民英雄」でもある兄がいることから、捕虜収容所でも一目置かれる存在。彼はソ連出身のダンスの先生にコサックダンスを学んだことがあり、超高速コサックダンスを踊れたりするダンス好き。彼は米軍の食糧庫に食料をくすねに入った時、たまたま目にした米兵ジャクソン(元ブロードウェイのダンサー)のタップダンスに魅了され――という、諸々「トンデモ」感あふれる本作品。しかしそれは韓国映画絶妙にツボを押さえているといいますかなんといいますか。

収容所のイメージづくりのために企画された催しで、結成されたタップダンスチーム、スイングキッズのメンバーは、女性、中共軍捕虜、芸人、黒人米軍兵と様々な社会的属性を持っています。人民軍出身のロギスを含め、政治的あるいは社会的な「よそ者」の集まりが「タップダンスへの情熱」というその1点において連帯感を持つのです。この、イデオロギーや様々な差異を超える芸能の魅力というテーマは、多国籍編成のグループを作り、彼らの音楽やダンスへの情熱が世界を駆け巡り、多くの人々の心を一つにまとめ上げていくK-POPの力をほのめかすようでもあり、ディオの魅力が爆発するしかない!という作りになっておりました。ディオのダンスとカリスマが発揮されなければ、そのメッセージに説得力はないわけですから。監督からの信頼感半端ないな!

韓国映画が得意とする、歴史的な物語の皮をかぶった「現在」の物語として、「スイングキッズ」は魅力的な映画でしたよ!