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創作ミュージカル「ルードウィクLUDWIG:ベートーヴェン・ザ・ピアノ」(2018-9年、韓国、初演)見て来たよ―「歓喜の歌」の悲劇効果がすごい!

ミュージカル「ルードウィク:ベートーヴェン・ザ・ピアノ」がJTNアートホール1館にて2018年11月27日~2019年1月27日まで公演中でございます。現在ソウルでは、創作ミュージカル「マリー・キュリー」も公開されておりますが、勝手に「偉人伝シリーズ」な気分で見てまいりました。聴力を失いつつも音楽を生涯鳴り響かせた作曲家ベート―ベンの一代記。伝記とみせかけて相当創作入ってる本作品。「スモークSMOKE」「インタビュー」の作・演出でもおなじみ(?)のチュ・ジョンファ作家の最新作。見て来たキャストはこちら!

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ルードゥウィク:ジョン・ウィウク

青年:キム・ヒョンジン

マリー:キム・ジユ

バルト他:ハム・フィス

ピアニスト:カン・スヨン

2018年12月現在インターパーク・グローバルには上がっていないチケットなので、韓国IDがない方は当日券狙い一択となっております。とはいえ、当日券でも全く問題なく中央前方席が確保できましたので、まだまだ余裕はありそうです。小さい劇場なので、後方席でも十分に楽しめるかと思われます。

www.youtube.com(2018年公演ハイライト映像)

あらすじ(主に韓国インターパークより)

モーツアルトの天才性、貴族社会の優雅さと保守性。平凡さを拒否した青年。人生の危機、死の誘惑を退けて自由と喚起を歌った稀代のアーティスト。「LUDWIG」、彼をまたとない「悲運の情熱家」と呼ぶ!――ベート―ヴェンは自分に残された日々が残り少ないことを知り、古くからの友に遺書めいた手紙を書き始める。ペンが紙の上を走るたびに、自身の過ぎ去りし日々が幻影のようによみがえる。子どものころのベートーヴェンは容赦ない教えのもと、手に余るピアノの前に座ってきた。青年になってからは聴力を失い、愛する女性をも失い挫折の沼にはまっていたその夜、見知らぬ女性マリーが少年バルトをつれて、ピアノを教えてやってほしいといきなり訪ねてくる。失った聴力、奈落に落ちた感覚にあったベートヴェンは全ての提案をかたくなに拒否するが、マリーは彼も忘れていた音楽の力とその中に込められた、世界へと広がる未来を語るのだった。「終わったと思った瞬間に、もう一つの世界が開かれた」偶然訪れた彼女から新しい希望と力を受けたベートヴェン、しかしこの状態も、どこかずれた情熱の始まりだったのだ。(インターパーク「ルードウィク」作品説明より싸니까 믿으니까 - 인터파크 티켓

・・・と、これはほぼほぼ前半部分で、ここからのベートーヴェンの重ーい愛情と毒親ぶり、オッサン臭いジェンダー観(まあ、18世紀ですからね)が辛い物語が展開されます。身近な人との愛情と愛着に基づく関係や、社会制度を生み出している「こうあるべき」という暗黙の了解が「自由に好きなことができる」というシンプルな選択を不可能にする状況、それから逃れようとする者の葛藤と挫折が描かれ、見ごたえがあります。ベートーヴェンと彼の甥の葛藤が極まる部分で「歓喜の歌」が流れるのですが、この絶望感たるや!ぜひ現場でご確認くださいませ。ちなみに、今回タイトルのLUDWIGをあえてハングル表記のタイトル音である「ルードウィク」(LUDWIGの英語読みルドウィグに準じている)と記述しているのは、劇中で甥が「ルードウィク!」と叫び「ルードウィクじゃない、ルートヴィヒだ!」とベートーヴェンが返すやり取りがあるので、あえて「ルードウィク」にしてみました。

演じ手と演奏家を兼ねるピアニスト

さて、本公演で音楽を担当するのは、基本「ピアニスト」のカン・スヨンさん。彼はこのミュージカルの伴奏を担当するピアニストなのですが、劇中の人物として、作曲も行う「ピアニスト」の役柄を当てられてもいます。「ピアニスト」は物語中ベートーヴェンの最後の手紙をマリーに届け、マリーに請われて自作の曲を弾くのですが、それはベートーヴェンの手紙によれば、彼のマリーへの最後のプレゼントでもある。「ピアニスト」は、ベートーヴェンが「新しい音楽」と認め、救いを感じた作曲家であることが最後の最後で明らかにされます。――が、この作曲家、ベートーヴェンを尊敬していたことは間違いないようですが、どれくらい親しかったかには諸説あるようでして。一応ミュージカルでは、一度だけ彼がベートーヴェンを訪ねるが、耳が悪いことを理解できず大声で怒られたと思ってあわてて出て行ってしまった。大事な楽譜を忘れて――という展開でした。さて、彼は誰の役柄をつとめたのでしょうか??というのも楽しめますよ。

 

感想の続きは以下に!

 

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