読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ミュージカル「デスノート」(韓国キャスト・2017年版)みてきたよ-テニスシーンにドキドキ!

ミュージカル「デスノート」2017年版・韓国キャストバージョンが現在芸術の殿堂オペラ劇場にて上演中(2017年1月3日~1月26日)。4階席はかなりきついオペラ劇場。2階が限界オペラ劇場。3階以上の席になったなら、強力なオペラグラスが必要です。それを持ち続ける体力もまた必要・・。

初演に引き続き登場のキム・ジュンスさんの演じるL(エル)は、髪がダークカラーになってL度アップでございます。でもまあもちろん、ジュンス・オーラは消えませんとも!そして今回夜神月演じますは我らが(?)ハン・チサン。久々の舞台復帰を首を長くして待っていたファンも多いのではございますまいか。

(2.5次元度アップを目指したキャスティングだった・・が?)

2・5次元とは違うところを目指すのが韓ミュなのかな

今回の韓国版キャスティングは、原作マンガのイメージに近づけることを旨とした、という触れ込み。前回ミサにキャスティングされていたチョン・ソナさんは、日本の「カワイイ」カルチャーの権化みたいなキャラには大人っぽすぎ、歌がうますぎるという欠点(?)がございました。そこで今回配役されたのはBEN(この方も歌は超うまいです)。身長147.5cmという、韓国の女性アイドルとしては異例のちびっこサイズ。これを利点としてミサミサに挑みます。しかし。インターミッションの際、トイレをまつ列で韓国の方々が「こ、子どもみたいだよね。顔だけ大人で」と言っておられたのにおもわずうなずいてしまいました。そう、腐っても彼女は韓国女性。ちびっこでも顔は「女」な雰囲気がただよってしまうのです。ミサの登場シーンでもAKB的な子供っぽさとエロティシズムのアンバランスさはなく、ガールズグループのアイドルメンバーのようにしか見えない。うーん、日韓女子の身体感覚は大きく異なっていると言わざるをえない・・なんでだろ??

また、今回髪をややダークカラーにおとしてL役に挑むジュンスも、やはりマンガのキャラであるLとは別物であるといわざるをえない。Lというキャラはあんなに情熱的に感情を表現しないだろう、と思えてしまう。そして逆に、マンガのキャラクターをはなれてLという登場人物が魅力的に創作されていくのにわくわくしたりもするのです。夜神月を演じるハン・チサンさんも、原作の月(ライト)を尊重しつつも、その純粋性と純粋ゆえに狂気にいたってしまうような「人間」を表現しようとしておられました。あくまでマンガに描かれたキャラを、そのままの存在としてつきつめていくのが2.5次元的なものであるとするならば、物語の中の人間を突き詰めようとしてしまう韓国ミュージカルは、やっぱり「ミュージカル」なんだなあと実感させられました。でも、カン・ホンソクさんのリュークだけはリュークだわ・・。

テニスシーンのきらめき

しかし、「ミュージカル」として突き詰めようとすると、本作品には欠点があることも見えてきます。なにせ、心理戦の緊張感が命綱な物語が「デスノート」。登場人物の感情にこころゆさぶられて物語が進むような「原作」ではないのです。だから、作品が「ミュージカル」としての完成度を高められてしまえばしまうほど「だ、誰に感情移入していいかわからない」という問題が生じる。レム?レムかな・・?

だからこそ、でしょうか。エルとライトがお互いのアラを見つけ出そうと冷静を装いながら腹の内を探りあう、いわゆるテニスシーンが輝きます。緊張感のある心理戦が歌詞にのせられて表現されるのですが、同時に二人がテニスの試合をして「やりとり」をしていることが動きとしても示されます。それぞれの気持ちや心の動きを個別に歌い上げる曲よりも、「デスノート」という作品の性質をうまく救い上げていると思われる。ハン・チサンさんとジュンスさんの声質もうまく調和して、美しい二人の男子を堪能できるこのシーン。このシーンみるために「デスノート」をみてもいい、とおもえるくらいなのでございます。いや、ほかにも見たいシーンはあるけどね。