韓国ミュージカル☆ライフ

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ミュージカル「モンテクリスト」(2016-17年・韓国キャスト)見てきたよ!ーリュ・ジョンハン先生の「地獄ソング」を聴くなら今年中に忠武アートに行こう!

ミュージカル「モンテクリスト」韓国キャスト版が忠武アートセンター大劇場にて上演中(2016年11月19日から2017年2月12日)でございます。どのエドモンを選択するか、どの地獄ソングにするか迷うところでございますが。私の見てきたキャストはこちら。

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エドモン・ダンテス=リュ・ジョンハン

メルセデス=チョ・ジョンウン

モンテゴ=チェ・ミンチョル

アルバート=イム・ジュンヒョク

 キャンドルデモの影響で映画館の観客が減少しているともいわれている今日この頃。そんなニュースはどこ吹く風。忠武アートホールは大入り満員でございました。「モンテクリスト」という演目の力でしょうか、思いの外男子(老いも若きも)人口が多かったのが、印象的。

さて、ミュージカル「モンテクリスト」では、原作の「モンテ・クリスト伯」に比べ大幅に登場人物のリストラがおこなわれておりまして。エデ(エドモンが買った奴隷で、実はギリシャの太守の娘)が出てこないため、最後はデュマ先生もびっくりな改変が行われています。前の席には、両親に(ほぼ無理やり)つれて来られたとみられるちびっこ兄弟がいたのですが、彼らがこれをモンテ・クリスト伯のあらすじだと思ってしまわないかと心配になりました。とりあえず家かえって「巌窟王」よんどきなさいね!

とはいえ、長大な原作を二幕にまとめたエンターテイメントとしては十分楽しい作品。リュ・ジョンハン先生のエドモンは熟成の域に達しており、見ごたえ十分なのでございます。とくに、一幕おわり、自分を牢獄シャトー・ディフに送り込んだ人々への復讐を誓って歌う、通称「地獄ソング」は帝王降臨、リュ・ジョンハン此処一番の見せ所。観客の期待が一気に高まり、前の席の子供の動きも停止。魂を吸い取られてのインターミッション突入です。まさにこの「地獄ソング」をみんな聞きにきているのだな、と実感する客席の集中度、拍手の強度。

しかし。ミュージカル「モンテクリスト」では、「地獄ソング」の印象的が強烈すぎるためか、他の曲がかすんでしまっている‥‥印象的も否めません。二幕からの復讐もなんか一気にカタがついていくため、あんなに気合いれてたのに、と肩透かしを食うといいましょうか。とくにメルセデスがらみの復讐対象であるモンテゴ以外のキャラ、ヴィルフォールダングラールは見逃しそうになるくらい手早くカタをつけられちゃいますからね。

復讐と復讐心からの解放というテーマをこの作品の中核と感じていた人たちには、エドモンとメルセデスの愛の物語として書き換えられたこの作品に、やや残念感を抱くかもしれません。だからこそ、原作モンテ・クリスト伯の魂を引き継ぐ「地獄ソング」が、一層輝くのかも。

 

ちなみに、リュ・ジョンハン先生のキャスト千秋楽は12月31日夜公演。「モンテクリスト」自体は2月まで上演されますが、リュ・ジョンハン先生の地獄ソングがききたいのよ!と思われているかたは、ご注意を。お急ぎくださいませ。

先生はこの後、シラノの準備にはいるのかな。