ミュージカル「ゴーン・トゥモロー」鑑賞記(2)-超・エンタメ!近現代史モノとおもって躊躇することなかれ!

朝鮮末期の歴史を背景とする創作(にもほどがある)ミュージカル「ゴーン・トゥモロー」(~2016年11月6日、BBCH)の感想は続きます。語りたい内容があふれ出るようなミュージカルでして。物語の読み込みを誘う「フランケンシュタイン」型とは異なる熱狂をもたらす作品のような気がいたします。いうなれば、ツッコミどころ満載なんだけど、そのアツさにいつの間にか感動しちゃったりしまう、車田正美先生のマンガのような(?)、ミュージカル。なんかふしぎなキャラの魅力で引っ張られてしまう、古き良き時代のジャンプのエッセンスをそのDNAに埋め込んだような作品です(わかるようなわからないような説明)。

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さて、本作品。一応時代は朝鮮王朝末期。日本や西欧列強が朝鮮半島(と中国大陸)を虎視眈々と狙う帝国の時代。朝鮮半島の歴史を考えると、ここからの挑戦はすべて破れ、混乱は深まるばかりの暗鬱とした時代でもあります。もちろん、日本との歴史問題にもいろいろとややこしい部分が出てくる方向へ、方向へと進んでいくわけですから、「近現代史舞台のストーリーはちょっとねえ・・」と躊躇される方もいらっしゃるやもしれません。しかし、前回も書いたように「ゴーン・トゥモロー」はほぼSF。パラレルワールド時代劇でございますから・・。もちろん、この平行世界的空想力の方向性のなかに、現代韓国の歴史感を読み込むようなマニアックな楽しみ方にも開かれております(それはそれで楽しい)。しかし、純粋に歌の魅力(「ゴーン・トゥモロー」の歌は名曲が多い!)と、おじさんたちのアツイ忠義と友情を堪能し、感動することもできるのです。そして、このミュージカルのつくりには、エンターテイメントとして楽しんでね!というサービス心があふれている。そのあたりを考えてみたい。

 さまざまなミュージカルのおいしいとこどり!

さて、この作品が古き良き「ジャンプ」ッポイと思うのは、たぶんその展開や演出において、既存の人気大型ミュージカル作品を彷彿とさせるようなシーン、つまりミュージカルの「見せ所」がちりばめられているからかもしれません。まさに王道を押さえた展開、おいしい要素はすべて盛り込んでみました作品なのです。いや、大型ミユージカルに限定さえしないかも。1幕終わりと2幕はじめあたりにある、キム・オッキュンとホン・ジョンウのやり取りなど、舞台には2人しか出てこない。「大学路2人系ミュージカルか!」とツッコみたくなるようなシーンが展開したりして。楽しいエッセンスがてんこ盛りなのでございます。

たとえば、パラレル歴史設定(?)なキャラクター、イ・ワン総理(何をまとめる総理なのだろう・・)はどこのものとも知れぬ軍服(上衣は長い)を身にまとい、舞台の上部にかけられた「橋」の中央に一人たたずみ、みおろす形で台詞をはいたりするのですが。ん?そのたなびくマントと橋の上から響く声、どこかでみたような・・デ、デジャブ!

あるいは、ですね。キム・オッキュン先生は2幕最初の方で結構あっけなく暗殺されてしまいまして、その後オッキュン・ロスのままお話が展開するのかと気をもんでいると、「心配ないよー!」とばかりに「魂」となったオッキュン先生が何度も何度も登場しまくる。そして最後、オッキュン先生は不滅の魂について真っ白な衣装のまま歌い上げてくれちゃったりもする。か、カミ?これもどこかで見た風景ではございませぬか。

と、いうように。これでもか、これでもかと「あのミュージカルのかっくいいシーン」が盛り込まれ、ストーリーを盛り上げていくのが「ゴーン・トゥモロー」なのでございます。

しかも、バトルシーンでは「スローモーション」演出が取り入れられたりもして。80年代、日本の小劇場ブーム華やかなりしころの舞台演出が脳裏によみがえったりもしたのでした。

めちゃめちゃエンターテイメント。おススメです!