読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

観劇旅行の午前中対策!-韓国で映画「釜山行き(부산행)Train to Busan」(2016)をみよう

この夏韓国に観劇旅行に行かれる方々は多いと存じますが。演劇・ミュージカルの上演は土日でも午後と夜。頻繁に韓国に観劇旅行に行っていると、午前中に行って帰ってこれる観光地にはほぼ行き着くし、お買い物したいものももはやなし、という最終進化形態に行きついてしまう。もちろんそこまでではなくとも、最高気温35度前後を記録してしまったりする夏のソウル。カロスキルをふらつくにはこの過酷な暑さはいかがなものか。そんなときにおススメなのが「映画」です。なにはともあれ映画館は涼しい!というわけで、午後からのミュージカルライフに支障をきたさず、お気楽にみられるエンターティメント映画として、この夏お勧めしたいのが、話題の映画「釜山行き」。

f:id:pokos:20160809094018g:plain

(「最後まで生き残れ!」このポスター画像だけではゾンビ映画かどうかはわからない)

映画「釜山行き(부산행)Train to Busan」は7月20日の封切り後20日足らずで観客数1000万人突破!破竹の勢いで現在も動員数を伸ばしているコン・ユ主演のこの作品。韓国発のブ ロックバスターゾンビ映画として話題になっております。韓国語が全く分からなくてもほぼ問題はないと思われるシンプルなストーリー。超定番の伏線とその結末。15歳以上観覧可のレー ティングで、ゾンビのホラー度も比較的マイルド(当社比なので、痛そうなものに弱いかたは厳しいかも)でございます。(以下の予告編映像をみて、大丈夫そうか確認してみてくださいね!)。

youtu.be

あらすじ(簡略版)

正体不明のウイルスが全国的に広がり、大韓民国緊急災害警報が発令される中、列車に乗った人たちはたった一つの安全な都市プサンまで、生き残るための熾烈な死闘を繰り広げることになる。ソウルからプサンまで422キロメートル。守りたい、守らなければならない人々の極限の死闘(ネイバー映画)

うーん、ネイバーのあらすじをみてもゾンビ映画であることすらわかりませんね!映画のメインはゾンビ。ゾンビから逃げる切迫感を楽しむ映画なので、韓国語の台詞が聞き取れなくてもほぼ問題はないとおもわれますが、わかっているとより深く楽しめるポイントがある。それは、韓国映画・ドラマのDNA、家族愛コードにかかわる部分でございます。ということで、どこを押さえておけば楽しめるのか、さらに詳しいあらすじを以下にまとめてみました(ネタバレはいやだという方はご注意。盛大にネタバレです)。最後の安全な都市が「釜山」であったり、当初の政府発表が事態を「暴動」と認識していて見通しが甘い点など、ある意味わかりやすく「社会派」ツボが押されてもおります。もろもろ解釈するのもよし、ただただゾンビにびっくりするもよし、コン・ユがスーツで戦う姿に、あるいはマ・ドンソクさんのマッチョな肉体に萌えるのもよしの娯楽超大作!

あらすじ理解のポイント!というかネタバレのあらすじ

主人公ソク(コン・ユ)は冷徹なファンドマネージャー。お金はあるけど仕事が忙しすぎて家族との時間を持てないでいる。別居中の妻は釜山の実家に。親権を争って離婚調停中。そのため現在母と一人娘のスアン(キム・スアン)との三人暮らし。スアンは翌日の誕生日に、母のいる釜山に行きたいと言っている。仕事がつまっている彼は、「来週連れて行くから」と答えるが「お父さんはいつもそういう。嘘つきだ」と非難されてしまう。さらに、母にスアンの学芸会の映像を見せられる。そこには、歌の途中で黙り込んでしまう娘の姿が。一人でも釜山に行くというスアン。根負けしたソクは、娘を連れて釜山行きのKTX(韓国の新幹線)に乗り込むのだった。

ここでポイントとなるのは学芸会でスアンが歌っている歌(アロハ・オエの翻案版)。作品中盤、スアンが学芸会で歌うのをやめたのはなぜかが明かされます、それは「お父さんに聞かせるための歌だったから、来てないのがわかって歌うのをやめた」というもの。スアンが父のことを嫌っているのではなく、むしろ愛していることを知らせるエピソード。そしてこの歌は、最後の最後で釜山を防衛している軍隊の人たちに彼女が「生きている人間である」ことを知らせる役割を果たすのです。

話を戻しまして。KTXに乗り込んだ二人。ソクは電話で「暴動が起こっている」という情報を得ます。しかし、列車は静かにソウル駅を出発。いくつかの不穏な出来事が描写され、やがて列車の中でもパニックがスタート!

途中乗客がスマートフォンKTXの車内テレビ映像で出来事を確認するシーン。政府発表が中継されるシーンでは「大規模なデモが起こり、暴徒が発生しているが、すぐに鎮静化する」「動揺せず安心して過ごしてください」という報道が行われています。しかし、ソクにかかってきた母からの電話で、それは単なる暴動ではないことがわかります。電話の向こうで、母は苦しそうな声でソクとスアンを心配し妻と仲直りしてほしいと最後の言葉を告げてこと切れるのでした。

この時列車はまだ天安牙山(チョナンアサン)駅。ここでおろせというヨンソク(この映画で悪役を担うおっちゃん)。しかしアサンについてみるとそこはすでにゾンビだらけ。列車はそのままアサンを通過するのでした。

あと、このあたり(だったと思う)で、妊婦の乗客ソンギョン(チョン・ユミ)、サンファ(マ・ドンソク。こちらも「ドンソク」さんですね!)夫妻と、スアンの交流が描かれます。おなかに触ってみろと薦められ、恐る恐る手をあてるスアン。「まだ名前は決まってないの。この人がなかなかきめてくれない」というソンギョンの台詞は、作品終盤、サンファの最後のシーンで生きてきます。彼は最後に、生まれてくる娘の名を叫びますよ。

その後、「列車での問題を解決するため、大田(テジョン)で全員下車せよ」という指示がはいったことがKTXの乗客に告げられます。ヨンソクは機関室に向かい、自分はバス会社の常務(かなんか)であること、大田も封鎖直前でバスは止められ動かせない状態であることを告げ、だからこそ客車を切り離し機関車部分でこのまま釜山に向かおうと提案。しかし操縦士は大田での停車を決めるのでした。一方、ソクは取引相手の一人に連絡し、後日確実な株を必ず紹介するからと懇願、大田では自分たちだけ別の出口から出て軍に保護してもらう約束をとりつけます。

しかし大田に到着すると・・。ソクは「大田の部隊と連絡が取れなくなった」という取引相手からの連絡をうけます。気が付くとたしかに目の前はゾンビだらけ!再びKTXに逃げ込む乗客たち。しかし乗り込んだ車両は皆バラバラ。ゾンビがうようよいる車両に挟まれたところにも逃げ込んでしまった!

ソクとサンファ、野球部員の高校生ヨングッ(チェ・ウシク)は最後尾の9号車から、ソンギョン(妊婦さん)、スアンがいるゾンビサンドイッチ状態の13号車を通って彼らを助け、多くの人が集まる先頭15号車へ移動することに。ゾンビバトルが繰り広げられ、ゾンビの欠点発見などがなされます。この作品のゾンビは動く速度が速めだが基本知性なしの猪突猛進タイプ。暗闇では物が見えなくなるらしく、音のする方に向かうという習性があることがわかってくる。

さて、ヨングッを好きな野球部のマネージャー、ジニ(アン・ソヒ)はそのとき15号車にいました。ヨングッから連絡をもらい、車内の人々に彼らが生き残った人間を救いつつ、移動してくることを告げます。すると、「彼らが感染してないとなぜわかる」と疑いのの意見が。

やっと14号車までたどり着いた9-13号の人々。しかし15号は彼らを入れないようにバリケード済み。襲ってくるゾンビ。15号の人々とも争った挙句、なんとか15号車に逃げ込むソクたち。しかしこのバリケード封鎖によって、死なずに済んだはずの人たちがゾンビになってしまったのでした。「お前らが感染していないとなぜわかる。むこうへいけ」15号の乗客は、やってきたソク達を追い払います。15号車にいたヨングッの友人ジニは、「ここにいる人たちのほうが怖い」といってソク達と共に移動。機関室との間の通路においやられたソクたち。15号車は彼らが入ってこられないように逆側にもバリケードを。しかし・・・。いろいろあって15号車の人々も結局ゾンビ化(このくだりは韓国語必要ないとおもわれます)。年老いた苦労人の姉を気遣っている妹(この人も老人)というのがここでの鍵となります。

そしてこの時、ソクの部下から電話が。彼らが投機目的で投資した問題企業の「ユソンバイオ」がこの事件の原因であることが告げられます。自分を責める部下(キム代理)に「キム代理の責任ではない」と答えるのでした。そしてこのキム代理から(確かこのあたりで)「釜山は防衛に成功したようだ」と、唯一(?)そこが安全な都市であることが知らされます。

このまま釜山に行けるのか?いやいや、列車は三度「東大邱(トンテグ)」でストップ。線路はコンテナや列車でふさがれてしまっていたのです。操縦士は「乗車可能な列車を探して運転してくるので、救助を待つ人はここでまち、列車に乗る人は勇気を出してきてくれ、幸運をいのる」と放送し、KTXを下ります。このあたりからも、韓国語は必要ないパートに入っていくと思いますので、彼らの死闘をお楽しみください。

ここで人数はさらに減って生き残ったのは3人。命からがら動き出した機関車につかまったソク、スアン、ソンギョン。操縦席を見ると、そこには半分ゾンビ化したヨンソクが!自宅の住所を告げ「母がまっている」と助けを乞う彼にソクは「あなたは感染している」と答えます。ヨンソクもまた、家族の待つ我が家にどうしても帰りたい人であったことが強調されるのです。このあたり、ほんとに韓国映画ッポイな!(いや、韓国映画なんですが)。

そして、ゾンビ化したヨンソクとソクの死闘。ヨンソクをなんとか振り切るのですが、ソクも手をかまれてしまいます。嗚呼!ゾンビ化必至。その時が来る前にと、操縦席にスアンとソンギョンを入れ、泣き叫ぶスアンを置いて、ソクは列車の最後尾に立つのでした。そしてー。ここ、ゾンビ化するソクと、スアンの誕生シーンの映像が交互に挿入されるんですが、一瞬笑える。コン・ユ白目むいてますからね。・・にもかかわらず、まさに泣き所はここ。

残ったのは2人(韓国映画ファンの間では、この妊婦と少女という生き残り選択に関していろいろ議論があるらしい)。もういいかげん釜山に到着か!とおもいきや。釜山へと線路が続くトンネルは暗闇に包まれ、その前はバリケードでふさがれている。線路に降り立つ二人(スアンとソンギョン)。真っ暗なトンネルに足を踏み入れます。

トンネルの向こうには、軍の防衛線が築かれていました。兵士たちは二人を発見。「感染の有無を確認せよ」との指示が。しかし、兵士が暗闇で判断がつかないとの返答を返すと、即座に「射殺せよ」との非情な命令が下ります。ソンギョンに照準される銃口。引き金を引くのを躊躇する兵士。そしてー、スアンが歌う「父に聞かせたかった」あの歌がトンネルに響きます。「生存者です!」叫ぶ兵士たち。この歌こそが、彼女らを救ったのでした。ーーで、エンドロール。

KTX路線

映画で取り上げられているのはKTX京釜線(赤いライン)。天安牙山(チョナンアサン)、大田(テジョン)、東大邱(トンテグ)は主要駅でもあります。この映画を見た後、KTXにのってフィルムツーリズムを楽しむのもよいでしょう(楽しめるのか?)。ちなみに、一番最初のシーン、バイオ団地があり「感染」が始まるジン・ヤンという地域は架空の場所です。忠清道あたりに想定されているらしい。

f:id:pokos:20160809115316g:plain

既にフランスをはじめとして、高速列車の走る国々でリメイク話が持ち上がっているという本作品。しかし、このお話はやっぱり「半島」という地理的感覚が重要な気がする。釜山は「もう後がない(海はあるけど)最終の地」という「半島の先っぽ」ですからね。

例えば日本でリメイクして、東京から博多(って、それは相当遠いな)に置き換えても、博多に「最果て」感はないような。九州は広いですからねえ。かといって東海道新幹線の終着駅新大阪だと、防衛するのはいっそ無理無理感が。東北新幹線で北に移動すべきか?あるいは、関ケ原でくいとめるのかな・・。

ともあれ、現在絶賛上演中のこの映画。ソウル市内のメガボックスやロッテシネマなどの大手シネコンでは、ほとんどの館でかかっているようです。劇場近くのシネコンを選択、朝10時台の回を選択すれば、2時間くらいの上映時間ですので、マチネ・ソワレに影響もありませんよ!

残された問題は体力のみ・・。