ミュージカル「スリルミー」(韓国キャスト・2016年版)沼へようこそ-花のチョン・ドンファ様と大型犬について語っておこう

ミュージカル「スリルミー」韓国キャストの2016年版、感想を書き終えたかに見えたかと存じますが、実は終わりではなかったのです!「スリルミー」は俳優さん違いを見てこその作品。ということで、このペアを見てきたよという感想をば。もう、俳優さんたちが次の作品に出ようかといういまになって、お伝えいたします。

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 (チョン・ドンファさまが光っておられる!って、単に反射して光が映り込んでしまいました。失礼)。

私:カン・ヨンソク

彼:チョン・ドンファ

ピアノ:ウォン・ヨハン

今回チョン・ドンファさんは「私」役から「彼」転向第一期。どんな風に「彼」を演じてくれるのか注目が集まっていたかと存じます。というか、注目しており ました。で、見た感想。一言でいうと「DVな彼女」な「彼」だった・・(ややこしいな)。一方カン・ヨンソクさんは主人に忠誠を誓う大型犬のような(ラブラドールレトリバー的)私。彼と私の役割が時として逆転するかのような錯覚に陥るこのペア。セリフが同じでありながら、意味するところが異なっているよう にも感じられた。王道からかなり外れたパターンを、これでもかと楽しませてくれるペアでございました。

「猟奇的な彼」 

逆転効果を生んでいた一つの理由が、チョン・ドンファ「彼」がとっても「女性的」かつ暴力的であったこと。カン・ヨンソクさんが殴られたり打ち捨てられたりするたび、本当に痛そうで(いや、事実痛いと思う)、それを見た観客が「ひょえ!」とわずかに浮き上がるのが面白かった。ほかのペアを見慣れているであろう方々も、ドンファさまの暴力にはたじろいでしまった様子。私ももちろん、一緒に「ひょえ!」となりました。

このように、とっても暴力的な「彼」なのですが、それは男性が、感情をうまく表現できないが故に使ってしまう暴力というよりは、女性的(というのもなんですが)な、ヒステリックなそれに近いものに見えた。自分の無力さを自覚したうえで、自分の意見を通すたがめのコミュニケーションとしての暴力とでもいいましょうか。「私」がわかってくれると前提したうえでの、子どものわがままに近いような暴力。でも実際成人男子だから力はもりもりあるので、「私」を突き飛ばしてしまうという。哀れ「私」。

しかし、多くのDVな人々がそうであるように、暴力に訴えない時はことのほか甘々だったりする。なので、ドンファ「彼」も、景気よくキッスするしボディタッチもしてくる。「私」を操るために自分の肉体を含めた魅力を最大限に利用するずるがしこい「ビッチ」な「彼」なのでございます。そしてそんなキャラクターが、はまりまくってますよドンファ様。

姫さまの言うなりな「私」

このドンファ「彼」を引き立たせるのが、メンヘラ彼女に忠誠を誓う彼氏のような「私」。「彼」が「私」に対して投げかける名台詞(?)「ちぇすおぷそ!ぴょんてせっき!(むかつくんだよ!この変態野郎)」は超小声でささやかれるのですが、これに対する「私」の怒りが面白い。通常見捨てられ感があふれるはずの「私」の立場が「飼い犬に手をかまれた、私」に見えました。これまで、困ったチャンでもそれなりに自分になついてるのがわかっているから許してやったというのに、なんだと!という状況に見えたというか。

護送車で彼に「俺はお前より優れている」と種明かし(?)する部分では、彼の反応を見越して復讐を達成しつつも、その反応をいとおしんでいるような「私」。自分の手の中に再び「彼」が戻ってきたのをかみしめるような切なさがございました。ともあれ、もう姫にめろめろな「私」だった。

チョン・ドンファさんと並んだ時、「私」のほうが高身長というこのペア。このサイズ感も二人の関係性をほどよく補完してくれました。最後、カン・ヨンソク「私」がぽろぽろ涙を流しながら、「彼」を思って幕となるこのペア。「私」の純愛っぷりと、なんだかんだ言いながらまるごと受け入れてもらえる感に甘えまくっていた「彼」の無邪気さが、ぐぐっときたのでございました。

もっと「私」をなでなでしてあげてーー!と、「彼」に叫んだ人多数だとおもわれます。