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ミュージカル「ニュージーズ」見てきた報告続き-描かれたのは「子ども」VS「オトナ」の戦い?

ディズニーミュージカル「ニュージーズ」。本日千秋楽を迎えたこの作品。みなさま見に行かれましたでしょうか?チョ・スンウさんもホン・グァンホさんも出ていなくても魅力的な作品。それが全員野球な「ニュージーズ」なのでございます。オム・ジュワンさんの熱演が多々評価されているのですが、私はこちらのキャストで見てまいりました。

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(み、見にくい・・。一応全員が「主役」的なお話なので、全体を入れようと努力してみた)

メインキャストは

ジャック:イ・ジェギュン

デイヴィッド:カン・ソンウク

クラッチ:カン・ウンイル

キャサリン:チェ・スジン

ってところで。

格差恋愛なカップル設定あり

 さて、映画版「ニュージーズ」と異なるのは、キャサリンというミュージカルオリジナルキャラクターが活躍するところ。映画版では、ジャックの恋人(デイヴィッドの兄妹)、ニュージーズの活動を報じる新聞記者デントンという役柄が分離しておりましたが、これがピューリッツアーの娘という設定を付加して統合。キャサリンのできあがりとあいなっております。女の記者は文化記事でもかいておけ!という風潮に反発してニュージーズの活動を取り上げることにしたキャサリン。最初はジャックに声をかけられても、「フン!(肉体労働な)あなたに興味なんかないわよ」という態度をとっていたのですが、次第にニュージーズたちの日常を理解し、ジャックのリーダーとしての優秀さを知るにつれ、彼にひかれていくのです。

また、ミュージカル版のジャックは「絵がうまい」という才能を持っている設定なのも重要でしょう。映画ではジャックのキャラクターは「ほら吹き半分だが凄腕の新聞売りである」ということ以外にこれといって特徴がないのですが。ミュージカルでは絵の才能に加え、足の悪いクラッチを常に思いやる親分度もアップしております。

こんなジャックだったら、キャサリンも惚れるよね!というポイントがちりばめられており、格差カップルが誕生する根拠となっているのですが。物語において、このカップルは、労働者と経営者という格差だけではなく、ほかにもいろいろなものを象徴していました。

「子どもの話か」というおっちゃんは正しかった

以前の「ニュージーズ」記事で、隣の席のおっちゃんが寝落ちする直前「子どもの話か」とつぶやいた件にふれましたが。

pokos.hatenablog.com

結果として、ほとんど舞台を見ていなかったであろうおっちゃんの意見はなかなか的を得ていたのではないかと思わされました。

というのも。新聞売りの少年たちが、ほかの児童労働者たちに呼びかけ、大規模なデモを企画するために造るビラは、ピューリッツアの新聞社の地下でほこりをかぶっていた印刷機をつかって刷られるのですが。ミュージカルでは、ビラ印刷をお手伝いするメンバーとして、キャサリンはもちろん、彼女の友達で大手新聞社のご子息な方々が登場。彼らは「同じ子ども」として、ニュージーズを助けようとするのです。ミュージカル「ニュージーズ」は、やはり「ディズニーミュージカル」。子どもの味方、ディズニーな世界観爆発です。君たちは、自分がその階層にいるからこそできることをしたまへ!と思わなくもない。・・のですが。まあ、そこは「ディズニー」様。彼らは、印刷機に関する技術なんかを皆の役に立てつつ(つまり彼らは自らの所属する階級によって何かを提供するのではなく、彼らがもつ能力によって「子ども」の仲間に入れてもらう)、ニュージズたちを応援、活躍する。うーん、うまいな。

というわけで、ジャックとキャサリンは、格差カップルでありつつ、大人に対抗する子ども(弱者)として理解しあう関係でもあるのです。

闘っているのは誰と誰

この「子どもたちよ共に立ち上がれ!」的連帯は、労働者として苦労しているニュージーズたちと、なんだかんだいってもオーナー一族でしょ?というキャサリンとその仲間たちの間に横たわるもろもろの溝を覆い隠してしまいもするわけで。そのため、ミュージカル「ニュージーズ」では、労働者側と経営者側の対立が、映画版よりも「弱め」られていたとさえいえるかもしれません。ニュージーズの「怒り」が非常にうまく表現されていたこのミュージカル。彼らの日常に蓄積した怒りは、誰と誰の戦いの中で解消されるのがもっともふさわしいのか?観客に問いかけてきます。

物語終盤、ジャックとピューリッツアが和解するシーンでは、ニュージーズ流の握手(お互い手につばを吐きかけてする握手)がなされます。つまり、ニュージーズたちのルールをピューリッツアが受け入れるシーンなのですが。彼らは労働者として経営者と和解したのか。あるいは、子どもとして大人に理解されたということなのか。お好みの「政治」レベルが選べる、ミュージカル「ニュージーズ」なのでございました。

ちなみに、ジャック役のイ・ジェギュンさんは本気でつばはき握手されていたので、ピューリッツア役のファン・マンイクさんが「マジで、汚いんだけど・・」とつぶやかれ、握手を躊躇されたのには爆笑でした。いや、ホントあれは握手するのキツイわ。