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ミュージカル「ニュージーズ」も全力投球、イ・ジェギュンさんのジャックが放つパワーとは。

ニュージーズ

しつこくミュージカル「ニュージーズ」の感想でございます。新聞売りの少年たち全員が主人公!とでもいうべきこの公演。それでも主人公ジャックの演技について、さまざまな批評もでておりますが・・。イ・ジェギュンさんへのコメントはやや少なめという印象。ということで、イ・ジェギュン押しで行ってみたい。

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(どちらかというと線の細い系キャラなイ・ジェギュンさん「労働者」としてのジャック役に苦労したらしい・・)

 

救急車スタンバイ

イ・ジェギュンさんはこれまで「スリルミー」や「女神さまが見ている」「エレファントソング」などに出演されてきた俳優さん。本人も、「普段は走りもしないし、大きな声も出さない、出しゃばる方でもない」という、素がジャックと正反対キャラなことを認めておられます。この「ざ、優男」とでもいえそうなイ・ジェギュンさんですが。舞台に上がると「スゴイ」。ファンの間では「外に救急車を用意しておかなきゃならない俳優」と呼ばれているほど、全身全霊、全力投球の演技が有名なだけある。以下に参考したインタビュー記事では、舞台がおわったらどこかしこにあざができているとか、5キロくらい痩せる、というエピソードも披露されています。あと、今までにも男がうじゃうじゃ出てくる作品にでまくってきたが、今回はその記録を更新した・・という話もあるのが面白い。ニュージーズ以上に男子だらけは、まあ、ないでしょうね。

ch.yes24.com

(イ・ジェギュンさんにがぶりよってくれている記事「今日は千秋楽かとおもった!ミュージカル「ニュージーズ」の俳優イ・ジェギュン」)

 この、全身から発する鬼気迫るパワーは、今回のミュージカル「ニュージーズ」でも、非常に生かされていた。

一幕最後の「サンタフェ」は超過酷

1幕最後に、ジャックは自分の置かれた境遇に絶望し、「サンタフェ」を熱唱するシーンがあります。ここは、1幕前半で歌われる、ぼんやりとした夢を語る「サンタフェ」と異なり、まさに熱唱に足る一曲となっているのですが。

「ニュージーズ」中で「上へと延びる」ニューヨークの雰囲気を出すために造られたセットとして、鉄パイプの階段というのがございます。3-4階分の階段を、新聞売りの少年たちが上下に行き来するのが一つの見ものとなるこのセット。激しい上下移動は見ているこちらが、か、過酷だろ・・と息が切れてきそうになります。でも彼らはそれを軽々と移動しちゃうので、また「スゴイ!」と心持っていかれるわけですが。

このように、ニュージーズのパワーを感じさせる上下移動。1幕最後の「サンタフェ」前にも階段一気上がりという儀式がある。そしてその息も絶え絶えな頂上到達直後から、感情を思いっきり解放した曲を熱唱しなければならないのです。イ・ジェギュンさんは、ソ・ギョンスさん(同じくジャックにキャスティング)に、「あそこ、呼吸整えとかないと!」といわれていたにもかかわらず、気をつけずに駆け上がってしまった。と、息が上がるどころではなく、脳天まで酸欠になり、周りに白目むいてるよ!とツッコまれたそうな。ほんとに「救急車」一歩手前。

私が見た回はその経験を生かしてか(?)、ぎりぎり息を整えての「サンタフェ」でございました。しかし、この曲自体でも相当消耗するはず。それを乗り越えての絶唱では、同時につばは飛び散るーの、あせは飛び散るーわの、えらいことになっておりました。そしてその分、観客に強烈な印象をのこしてのインターミッション突入となるのです。1幕中盤からずーっと寝ていた隣のおっちゃんも(たぶん奥さんに連れられてきた。途中「子どものはなしか」とつぶやいて寝落ち)、この「サンタフェ」だけは凝視しておられました。劇場中、なんかとんでもないことが起こっているゼ!という空気につつまれていたのが伝わった様子です。

イ・ジェギュンさんの演技を見て、一見線の細いジャックだからこそ、その爆発するような怒りがガツンと響いてくるということもあるのだなあ、と実感。すべてを出し切るような表現は、そこに示されたパワー以上の何かを生み出すのだと思わせる、ジャックなのでございました。