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ミュージカル「マタハリ」の男たち-ソン・チャンウィの魅力に(勝手に)迫るよ!

マタハリ

ミュージカル「マタハリ」千秋楽まであと少しとなりました。皆さま鑑賞はおすみでございましょうか?初演ならではの試行錯誤もあるのだと思いますが、楽が近づくにつれて舞台の完成度も上がっているような気がいたします。今が見どころ!たぶん、きっと。さて今回は、ソン・チャンウィさんのアルマンの魅力にせまってみたい。

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(マキシムだったあのころ)

誠実さオリンピック級の効果

さて、ソン・チャンウィさんはテレビドラマでもおなじみの役者さんで、そちらの印象が強いというかたも少なくないのでは。私も初見はベトナムから花嫁を迎えるというお話のテレビドラマ「黄金の新婦(2007)」でした。この時の印象もあってか、感情を爆発させてもどこか品の良い、誠実男子代表!というイメージが強い。なので、課された任務に対する責任と、マタハリへの愛に葛藤するアルマン役ははまり役ではなかろうか、と思いキャスト選択させていただきました。

で、見終わった結果「『誠実イメージ』が強いことが、逆にアルマンが無自覚かつ残酷なキャラクターになっていたかも!」と思い至り、あれこれ妄想を繰り広げる楽しみ付の満点セレクトだったと実感いたしました。彼は何に対して最も「誠実」たろうとした人だったのか。これを考えてみると、実は「愛」ではなく、「任務」に対してだったのではないだろうか、と思えてくるのです。

アルマンというキャラクターは、軍に命じられてマタハリの監視をすることになった飛行士。任務としてマタハリに近づいたのですが、次第に彼女にひかれていく。それをラド大佐(同じ穴の狢なのですが)に気づかれ、嫉妬にかられた大佐によって敵地視察の無謀なフライトを命じられてしまうのです。死を覚悟して飛び立つアルマン。それを見送るしかないマタハリ。そしてアルマンは、ドイツ上空で消息を絶つのでした。ラド大佐は悲嘆にくれるマタハリに、アルマンは任務で彼女を監視していたにすぎないと告げます。その事実を受け入れられないマタハリ。負傷したアルマンが敵地ドイツで捕虜となり、治療のため病院におくられていることを知った彼女は、命をかけてアルマンに会いに行く。彼の口から真実を聞き出すために。しかし、病院で出会ったアルマンは、自分がマタハリを監視していたのは真実だと告白するのでした。黙っとけよこの際!と思わずにはいられないシーンでございます。まさに事実に向き合う「誠実さ」があだになるのです。もし、彼がマタハリの心を大切にする「誠実さ」を持っていたならば、命がけで会いに来た女にいうかナそれ、と思いたくなる。

一目あなたに、と盛り上がっていたマタハリはその一言で絶望します。詫びるアルマンを残し、再びフランスに戻るマタハリ。しかし彼女は、このドイツ入りによって、逮捕されることになるのでした。ドイツ行き損!帰り損!

さて、リアル・アルマン登場はここまで。2幕後半の裁判のシーンでは、マタハリのみた幻想としてのアルマンは登場するのですが、あくまでも現実を動かす存在として物語上に現れることはありません。彼女は裁判中「彼(アルマン)がこのこと(マタハリが裁判にかけられていること)を知ってたら、かならず駆けつけてくれたはず」というのですが、その真偽が確かめられることはないのです。家門の名声や地位を最終的に選んだラド大佐同様、アルマンもまた、命をかけて自分に会いに来たマタハリの誤解を、命をかけて解こうとはしなかったのではないかと思わせるシーンです。結局彼は、飛行士としての、フランス軍人としての名誉ある「自分」、そのために果たすべき「任務」に誠実であるがゆえに、脱走捕虜にならなかったではないか、と。

他方、マタハリもまた、アルマンが自分ほどには彼女を愛しきれていないことを、どこかで気づいていたのではと思わなくもない。それでもアルマンが裁判所から自分を助け出してくれるかも、という幻想を抱いてしまうあたりとても痛々しいのですが。この件についてはまた改めてじっくり語りたいと思います!

ソン・チャンウィは空から降ってこないだろ

ちなみに、アルマンとマタハリの最初の出会いはセーヌ川のほとり。パラシュートで川べりに落下してきたアルマンをマタハリが助けるところから始まる二人の愛。この、「空から降ってきた男」設定ですが、今回のキャストでマンネ(末っ子)VIXXのレオくんとか、オム・ギジュンさんとかには似合いそうなんですよね。いやー、おっこっちゃったよ、てへぺろ!みたいなキャラをさせたら、オム・ギジュンさんとかぴったりそうですからね。しかしそれがソン・チャンウィさんだと、「いやいや、ソン・チャンウィは降ってこないよ。なんか仕込まれてるよ」という気配がものすごく漂う。濡れ髪にはちょっとクラっときてしまいましたが。

ともあれ、アルマンにマタハリを監視させることを思い付いたラド大佐、セーヌ川の出会いもラド演出なんでしょうか。吊り橋効果を用いた心理作戦か。さすが情報部の最高位にある軍人・・って、どこに関心してるんだか。アルマンもその台本(?)を渡された時、

「大佐、設置に無理があります。セーヌ川にパラシュート落下は難しすぎます」

とか、真面目に受け答えしてそうではないですか。いやいや、ツッコミどころはそこではなかろう!というご意見もございましょうが。えーっと、そもそも何の話だっけな。

ちなみに、アルマンは結局本当に死んだんですかね?裁判では、死んだことになってましたが。