ミュージカル『シラノ』ってどんな作品?-リュ・ジョンハン先生制作予定のミュージカル予習
リュ・ジョンハン先生が制作者に?とうニュースで報じられた、先生が制作に加わるライセンスミュージカル「シラノ」とはどんな作品なのでしょうか。相当気が早いきもするのですが、予習(?)にとりかかることにしてみました。まだ「MATAHARI」を見に行けていないので、情熱の持って行先が変な方向にむかっております。
「シラノ」さんは実在する!
リュ・ジョンハン先生が手掛けるミュージカル「シラノ」は、1897年に上演されたエドモン・ロスタンの戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」から派生したさまざまな作品の一バリエーション。一行あらすじを書くなら、17世紀末、才能あふれるが大きな鼻に悩む男が、片思いを生涯貫き通して亡くなりましたというお話です。端折りすぎですか。
ちなみにシラノさんは実在の人物で、サヴィニヤン・ド・シラノ・ド・ベルジュラック (Savinien de Cyrano de Bergerac、1619年3月6日 - 1655年7月28日)とおっしゃるのだとか。フランスの剣豪で作家、哲学者、理学者であったのだそうです。才能あふれる剣豪という点では戯曲のとおりなのですが、純情を貫き通す方であったかというとそうでもなく、木材で頭をけがしたという、戯曲で直接の死因となってしまうエピソードは経験されたようですが、実際それで亡くなったというわけではなく、梅毒にかかられたようですよ。純愛とはえらく方向性の違う死因です。死後200年をへて、書かれた戯曲がこんな広がりをもつことになろうとは。シラノさん本人もびっくりでございましょう。
(Wikiペディア「シラノ・ド・ベルジュラック」より。お鼻がそこまででかいようにも見えない)
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いつもの通り青空文庫検索してみたところ、作業中でした!待ってます。岩波版と光文社版が発売されておりますね。
大人気!な作品としての「シラノ」、映画にミュージカルに、そして
本人よりはるかに有名になってしまった 戯曲「シラノ」は、パリでの初演から大好評を得て話題を呼んだらしい。もちろん、いまやフランスだけで知られる作品ではなく、全世界で愛されています。戯曲の初出が1800年代な古典ですから、その後芝居だの映画だのが相当数つくられている。
面白いのが、日本で1926年に翻案上演された『白野弁十郎』という作品。1897年に書かれた戯曲をその29年後に上演しているというのは、当時のスピード感からしたらけっこう早い気もする本作品ですが。タイトルがおやじギャグか!と突っ込みたくなる語呂合わせなところに愛嬌があるような、ないような。登場人物も日本にローカライズされているようです。これを基にテレビドラマも作られたのだとか。そういえば昔はこのような「翻案」という文化がありましたねぇ。個人的には、これをミュージカルにしても面白いのではなかろうかと思ってみたり。・・妄想してみましたが、そもそも主人公を韓国語の名前にするのが難しそうですね。
映画も何度も作られていて、アメリカ映画・フランス映画ととりまぜ諸々があります。舞台を現代に置き換えたよ系も。
(1987年、アメリカ映画として作られた「現代版」)
(2012年、アメリカ・ディズニーチャンネルのオリジナルムービーとして作られた作品。ほぼオリジナルといっていい改編ありで、主人公は詩を読むのではなく、ラップで作曲しちゃうよ!という展開な作品)
基本に忠実なものとしては、カンヌで賞もとっている1990年の作品。
(本家おフランス制作、『シラノ・ド・ベルジュラック』)
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で、ミュージカルはといいますと。1973年にブロードウェイで上演されたのが最初らしいですね。マイケル・J・ルイス楽曲でアンソニー・バージェスの作・演出。で、日本で上演されたのはこちらではないようで。1992年オランダで制作され、翌年ブロードウェイにかかった「シラノ・ザ・ミュージカル」が、2001年に日本で上演されたものの元ネタのようです。アト・ヴァンダイク作曲&クーン・ヴァンダイク作。この作品はWikiによると「伝統的ブロードウェイスタイルというよりはレミゼラブルやオペラ座の怪人に近いものである(Wiki Cyrano: The Musical参照)」と説明されていいます。オランダとアメリカ以外では、ベルギー・日本・ドイツで上演されているそうですが。これも、韓国版で見てみたかった気も。
で、われらがリュ・ジョンハン先生の制作するライセンスは、2009年にスペインで初演された「シラノ」。同年日本で、そして2013年に再演されており、フランク・ワイルドホーン作曲&レスリー・ブリッカス作です。この二人は「ジキル&ハイド」の組み合わせですから、韓国でも人気でそうなパターン間違いなし。
そして最後に、あえて紹介しておきたいのは、マンガ版「シラノ」。ここでそう来るかと変化球をなげてみたい。みなもと太郎先生の「シラノ」です。1970年代に発表された作品ですが、「ハムレット」「乞食王子」などとともに「シラノ」が収録された単行本が現在キンドル版(そのほか電子書籍)で読めるようになりました。
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書籍タイトルは「ハムレット」となっておりますが。この1巻(キンドル版)に「シラノ」が収録されてります(2巻には「モンテクリスト伯」もあるよ!)。徳川300年を一気に見通すギャグ大河「風雲児たち」でもおなじみのみなもと先生が書く「シラノ」なので、まあ、そのようなものだと覚悟してお読みいただきたい。なんせ、鼻ないからね。シラノなのに。まあ「鼻に特徴がある」という点では、無いのも過剰なのも同じということでしょうか。大胆過ぎるよ、みなもと先生。
日本での上演
さて、日本ではオランダ版と、ワイルドホーン版のいずれも上演されたことがあるわけですが。オランダ版は市村正親さんが、ワイルドホーン版は初演・再演ともに鹿賀丈史さんがシラノを務められました。むむ、豪華。
(2013年再演にむけた予告編。楽曲がワイルドホーンだわ・・)。
公開稽古の様子も上がっています。
ストレートプレイから映画、ミュージカルまでどのバージョンも基本的にはつけ鼻をつけるんですね。みなもと太郎先生の斬新さが際立ちます・・。ジョンハン先生、鼻つけるのやめるのは、無理ですかね。