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ミュージカル『スリル・ミー』(2016年・韓国版)のブロマンス割引とは?

ミュージカル「スリル・ミー」は男性二人の愛と支配/被支配をめぐる物語なのですが、観客席をみると98%くらい女子。圧倒的に、女子。たぶんちょっと「(いろいろ)熟しすぎた」女子。しかし、にもかかわらず、100%にはなりえない女子率。「スリル・ミー」がみたい男子もやはり、世の中には存在するのです。

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先日鑑賞した回は、女子率98%というよりは、95%くらいでした。むしろ、男性観客がちらほらいるな、という感想。もちろん、ミュージカル好きな男性マニアの中には、小劇場ミュージカルの雄、人気演目としての確固たる地位を築いている「スリル・ミー」を見ておかねば、ということで1人でやってくるつわものもいるのですが・・。

ぐるっと見回したところ、1人といわず、2人で来てる人が結構いたのです。しかも、おじさんペアだったりする。おじ様たちにきいてみたかった。あなた方はなぜこれを選んだのか、と。向かいでかかってる「ロギス」がいっぱいだったので、こっちにしたのかなと推測してみたり。とりあえず、申し訳ないけど「すんごく、浮いてます」といういたたまれない感があふれていました。いや、別にみるなと言っているわけではございません。
なにせ、おじさんたちは帰り際「えーっと、あの二人は付き合ってるってこと?」と超基本的事項を確認しあっている。内容を知らずに来た事は明白なわけです。むしろ、どうして君たちはこの不思議の国にまよいこんだんだい、と気になる。

で、一つの理由となりそうなのが、こちらのチケット割引システム。

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上から、「3枚割引」30%、「ブロマンス割引」30%、「再観覧割引」20%・・と続きます。「ブロマンス割引」の内容を見てみますと「男性観客2人以上予約時割引。4月24日公演まで適用)、2枚から可能。最大10枚まで可能。チケット受け取り時に人員と性別を確認します。確認できない場合は差額を支払っていただきます」とある。内容的には、男性集団に適用される割引であるといえるので、おじさんたちはこの点に注目して、やってきたのであろうかと推測できるわけです。違うかもしれないけど。

でもさ、どうしてわざわざ「ブロマンス」と名付けたの・・と思わなくもない(個人的には、ペア割引とか、カップル割引とかでいいのでは、と思うのですが)。この表現が選択されている時点で、ここになんらかの意図が込められていることを感じます。でもおじさんたちはその点についてあまりとやかく神経を使ってはおられない模様。それはそれで潔く男らしいというべきか。

ちなみに「ブロマンス」とは、ブラザーとロマンスを合わせた造語で「男同士の(必要以上に)強い友情や絆」をさします。この言葉自体には性的意味はふくまれていないという前提なのですが、まあね。「スリル・ミー」を鑑賞するという文脈がありますからね。

とはいえ、不思議の国に迷い込んだようなおじさんたちは、「最後はあれ、結局だまされたってこと?」などとお互い物語内容を確認しながら、それなりに満足そうに出口にむかっていったのでした。とまどいつつも、ミュージカルを楽しまれた模様。解釈をめぐって話が尽きない様子です。それはやっぱり、作品自体の心理ミステリーとしてのストーリーの面白さと、俳優さんの演技の妙がなせる業なのでしょう。

設定を知っていると、微妙に観客を選びそうな作品ではありますが、実は、そういう先入観無く見るって結構大事なのかも、と、おじさんたちの背中を見送りつつ思ったのでありました。

まあ、おじさんたちの後ろをぴったりつけて、聞き耳たててる君が一番変だよ、という声もきこえてきそうではありますが。