韓国ミュージカル☆ライフ

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「フランケンシュタイン」にメロメロ その2 チェ・ウヒョク君の「怪物」を考える

脅威の大型新人チェ・ウヒョク君。1/1000の難関を突破して「アンリ/怪物」にキャスティングされちゃったシンデレラボーイ。ボクシング選手を目指していたが故障をへて転向、ミュージカル俳優を目指していた・・という「伝説」がすでに生まれているスーパー新人君です。とりあえずひとめ見ておかねば!ということで、このペアの回を見てまいりました。

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 チョン・ドンソクビクター、チェ・ウヒョクアンリ/怪物。歌良しビジュアル良し、若さあふれる組み合わせ。

 

実際ウヒョク君は安定の歌声と演技で「ほんとに新人なの??」と耳と目を疑わずにはおられないほどの仕上がり。YouTubeで見たときは「ちょっと歌詞が聞き取りにくいような気がする。ミュージカルは歌い上げると同時に、きっちり言葉を聞き取れるように歌ってほしいな~」と、えらそうに心配していたのですが。

 

心配だったころ(もちろん、すでに十分うまい)。


151031 프랑켄슈타인 갈라쇼 - 너의 꿈속에서(최우혁)

 

劇場では「舞台で演じる役柄としてのアンリ/怪物」が心情を語るために歌があることをきっちり意識したものに進化しており、とっても聞きやすく、心揺さぶられたのでした。

 

まず印象的だったのは、ビクターが戦地から戻ってきて舞踏会に登場したあと、周囲の雰囲気を悪くして出ていった後で、アンリが「お詫び?」をしようとするのをルンゲが止め、引きずられるように退場するシーン。その瞬間、後ろの席に座っていた韓国人女子が「キヨォ・・(かわいいっ)」と、思わず心の声が漏れてしまったかのようにつぶやいた。わ、わかるっ。その言葉にわたしも激しく同意したいと思います。アナタ、よくわかっていらっしゃる。ウヒョク君のアンリは、このような「かわいさ」が魅力なのは間違いない。しっぽ振って、ビクターについていく感じとでもいいましょうか。純真にご主人様を信じ、なついてきゅんきゅん言ってるような「こ、子犬が見える!」と叫びたいほどです。

 

しかし子犬は、やがて、ご主人様の罪をかぶって断頭台に消えてゆきます。このときも、対等な友情と自らの使命感によってなされた行動というよりは、(ドンちゃんがビクターだった、というのもあるのでしょうが)疑うことを知らない純粋さが前面に出る感じだった。あれ?いまビクターにだまされなかったかい、君、みたいな。

 

このように、とってもかわいいウヒョク・アンリなので、逆に「怪物」になったとき、生まれたばかりの子どものように純真な「怪物」という、「怪物」くんの特徴の一つが、あまり引き立たなかった気もします。つまり、アンリ(大人)-怪物(子ども)という落差を利用することでうまれる魅力がやや減じられてしまったような。みなさんは感じなかったですか?わたしだけですか?アンリパートを愛ですぎましたか??

 

だからこそ、「怪物」が自我に目覚め、自分と創造主であるビクターとの関係に決着をつけたいと思いはじめた部分、つまり怪物が「大人」になってからの展開は見ごたえがあったなーという感想。ここでは、アンリ(子ども)ー怪物(大人)という落差が生じえたから。でも、通常想定されている、アンリ(大人)-怪物(子どもから大人へ)という変化によって、アンリと怪物の「違い」があいまいになり、その効果として、怪物はアンリの心を持ちえたのだろうか?というナゾが深まる、という黄金ルートは捨て去らざるをえなかったように思います。なので、わたしはウヒョク・怪物はアンリと別物の存在としてビクターと対峙した、というふうに楽しんだのでありました。

 

私が見たのは1月だったので、その後もしかしたらウヒョク・アンリも大人になったのかもしれません。たぶんウヒョク君自身も、この役の中で成長していそう。うーん、もう一回くらい見たいものだ。