ミュージカル「レベッカ」見てきました。ダンバース夫人怖かったよ!

「よんぅをんはーんせんみょーん、ちゅぐむーんもるら~(永遠の生命、死を知らない)」・・・と情念たっぷりに歌い上げるダンバース夫人がとっても怖い(けどステキな)ミュージカル「レベッカ」を見てまいりました。今回は芸術の殿堂オペラホールにて上演。キャストはこちら。

 

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リュ・ジョンハンマキシムとシン・ヨンスクダンバースです。「私」はスン・ソンウンさん。

 

リュマキシムの魅力については改めて語りたいと思うのですが。今回は、この作品を強烈に印象付けるダンバース夫人に注目してみたいと思います。なぜこうも「レベッカ~」という彼女の声が耳に残るのか(曲がすごいのはもちろんとして)。

 

まず、いまさらですがミュージカル「レベッカ」について説明しておきましょう。「レベッカ」は「エリザベート」を手掛けたことでも有名なミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイコンビが送るウイーン発のサスペンスミュージカルです。

 

アメリカ人のヴァン・ホッパー夫人の付き人をしていた「私」は、モンテカルロの高級ホテルでイギリス人富豪のマキシム・ド・ウインターと出会い恋におちます。彼は美貌の妻レベッカを亡くしたばかりでした。彼と結婚した「私」は彼の故郷のお屋敷マンダレイ(韓国語ではメンドリーに聞こえる・・)に足を踏み入れます。そこにはお屋敷を取り仕切るダンバース夫人が(じゃジャーン)。彼女は亡き女主人レベッカをそりゃあもう強烈に崇拝しており「私」を新しい主人とはみとめないのです。「私」を追い出すために精神的にじわじわと追い詰めていくダンバース夫人。コワイよー。

 

しかもマンダレイにもどったマキシムはなんだか挙動不審。「私」がボートハウスに近寄ると狂ったように怒ります。こっちもコワイよー。しかしマキシムを愛する「私」は、彼がレベッカを未だ忘れられないのだと思ってしょんぼり。いや、なんか明らかにおかしいよ。

 

そうこうしているうちに(?)難破船がみつかり、その中からは行方不明になっていたレベッカの死体が。レベッカは誰に殺されたの?というわけで騒動に。レベッカの愛人だったジャックは彼女を殺したのはマキシムだと主張します。そして金を出したらだまっててやるよ~と、ゆすりを始める始末。

 

本当にレベッカを殺したのはマキシムなのか?マキシムが本当に愛しているのは誰なのか。ついに私はボートハウスの前で、彼の口から「真実」を告げられるのでした。この時歌われる歌が「刃のようなあの微笑 Kein Lacheln war je so kalt」。この歌のすばらしさについては改めて語りたいところ。

 

そしてもう一転、レベッカの死因を調べていくうちにマキシムも、そして彼女のすべてを知っていると自負していたダンバース夫人さえも知らなかった事実が明らかに――。サスペンスなので、最後まで書くのはやめておきます。が、このレベッカの死因をめぐって、ダンバース夫人は衝撃を受け、あまりの失意から狂気に陥り、マンダレイに火をつけ自殺してしまうのです。このくだりにダンバース夫人のレベッカへの執着があらわれています。

 

さて、シン・ヨンスクさんのダンバース夫人ですが、とっても粘着質な怖さがあって素晴らしかったです。フェロモンただよう立ち姿なのですが、その情念がすべてレベッカにむけられているというのがびしびし伝わってきて、粘性が増すといいましょうか。

 

バルコニーで「私」を脅すように歌われるテーマ「レベッカ」では、ダンバース夫人においつめられる「私」の恐怖が伝わってくるとともに、レベッカの魂を海から呼び戻そうとする巫女のような迫力がありました。

 

2014年版の映像はこちら。


2014 뮤지컬 레베카 'Rebecca' 뮤직비디오_ 신영숙 & 임혜영

 

ダンバース夫人はレベッカにあこがれるというよりは、自分がなりたくてもなれない神のような存在として崇拝しているのですが、その一方で、「彼女は自分にだけ秘密をすべて打ち明けてくれている」とう自負によって彼女と一体化していたのではないでしょうか。だからこそ、レベッカの死因が分かったとき「それを知らされていなかった」ことに衝撃をうけるわけです。その衝撃を乗り越えるには、自分と彼女の化身として大切に守ってきたマンダレイを滅ぼすことで、再度彼女を自分のものにしたいと思ったのではないかと。

 

レベッカ」はダンバース夫人のレベッカとのかなわぬ恋(?)の物語なのだなあ、と焼け落ちるマンダレイを眺めつつ思ったのでした。もうマンダレイはダンバース夫人のもなんだよ、と、火消しに必死なマキシムに言いたかった。

 

 ちなみに・・

原作はイギリス人のダフネ・デュ・モーリアによる小説『レベッカ』です。

レベッカ〈上〉 (新潮文庫)

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レベッカ〈下〉 (新潮文庫)

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 モーリアの小説は、この『レベッカ』だけではなく、『鳥』もヒッチコックによって映画化されています。とはいえ、サスペンス作家だったわけではなく、ゴシックロマンの名手だったようです。

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